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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「朝が来る」
二人の「初体験」の場面がロマンチックに描かれますが、これも失笑。イメージビデオみたいですが、中学生同士ですよ?想像するに、数十秒で終わるのじゃないですかね?えっ、私の注文が細かいってか?そうですか。でも私は自分で責任取れもしない中学生の濡れ場に、このロマンチックさは許し難いのです。

そして言葉。奈良が居住地のようですが、言葉がバラバラ。父親だけ関西弁で、他は母、姉、ひかり、全員標準語で時々下手な関西弁。どうなっちゃてるの?方言指導出来ないなら、居住地は関東に変更したら?それとも原作に理由が書いてあるなら、描くべきです。

ひかりの変貌は、私は想定内です。いくら中学生とは言え子供一人を産んで、人生が変わらないはずはないのです。後で出てくる「なかった事にはしたくない」は、真理。その気持ちを汲み取る事が出来ない親は、しかし毒親だとは思いません。この反応が一般的なのじゃないかな?デリカシーの無さは、とても気になりましたが、親は親なりに、ひかりの人生が「普通」であるよう、軌道修正したかったのでしょう。そして親との感情の乖離から、荒んでいくひかりの気持ちも理解出来ます。この過程は、とてもリアルに感じます。

しかし、ひかりが清和と佐都子の前に現れてからが、またもう。ひかりは最初朝斗を返して欲しいと言います。それを断られると、お金を要求し、出さないと周囲に朝斗が実の子ではないと言いふらすと言う。恐喝です。何故恐喝したか、自暴自棄になる過程がのちに描かれるので、ひかりの気持ちは解ります。

しかしこの夫婦の対応がなぁ。家に呼ぶか?恐喝してるんだよ?普通危ない相手に決まっているでしょう。電話番号だけでも、どこで調べたか聞くべきだし、家なんか教えて個人情報丸裸ですよ。先ずはベビーバトン(特別養子縁組斡旋団体)に連絡でしょう?これも後で団体が活動停止になったと描かれますが、人の命のやり取りです。普通は細々でも受け皿の団体を残すか、別の団体に業務を引き継ぐはず。なのでベビーバトンの関係者に相談しないのは、解せません。実際実親が子供に会いたいと言うケースはあるはずで、ガイドラインはあるはずです。

そしてひかりをあなたは本物のを親じゃないと、追い返す。だから尚更この家の所在と朝斗の関係を何故知っているのか、どうして聞かないの?「あなたは誰ですか?!」と叱責するより、もっと大事な事です。

そしてその後、捜索願いが出ているのでと、刑事が来て、写真と名前を見て佐都子は、本物のひかりだと理解。えっ?近辺に住む女性の捜索願いで、普通刑事が来ますか?警官ですよね?何か事件に巻き込まれたのかと想像しましたが、それもなし。もう何なの?

そして朝斗引き渡しの際に、ひかりから貰った手紙に「なかった事にはしたくない」の文字を見つけた佐都子は、必死でひかりを探す。そして都合よくひかりを見つけ、「広島のお母ちゃんだよ(実の母親と言う意味)」と、ひかりと朝斗を繋ぎます。

↑もう全くわからん(笑)。い「なかった事にしたくない」の一文で、ひかりのこの六年の辛い生活が、一瞬でわかるのか?あんたエスパー?(笑)。理由は何にしろ、ひかりが朝斗の事で夫婦を恐喝したのは事実です。それって朝斗への冒涜でしょ?情が勝る案件ではないです。

ベビーバトンは、早い時期に養子だと子供に教えるようなっているそうで、それは良い事だと思います。しかしいきなり子供の前に、荒んだこ実母を見せる必要があるのか?こういう場合、感情が最優先されるべきは、育ての親でもなく実母でもなく、子供です。ここも許し難い。

とまぁ、一見リアリティのある描き方で、切なさや社会に対して訴えているようで、中身はスカスカ、疑問がいっぱいって、どこかで見たなと思い出したのが、是枝の「万引き家族」でした。技量としては是枝の方が上ですが。煙に巻くのが数段上手い(笑)。

私が好きだったのは、ひかりのような子たちが、出産するまで過ごす広島にある一軒家での生活です。訳あり女性たちが、哀しさを心に秘め、今は元気な子を産むことだけを考えて暮らす様子が、暖かで切ない。そんな彼女たちを白い目で見ず、見守る村民の姿にならなくてはと、痛感しました。


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12月08日(火)
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