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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ジュディ 虹の彼方に」
涙ながらに自縛から解かれるジュディは、決して執着の愛で子供を盲愛していたのではないと思いました。子供の幸せを願う、その気持ちが彼女の心を軌道修正させたのです。この半年後、ジュディは47歳の若さで亡くなっています。生き甲斐であった子供を失う喪失感と共に、自分では荷が重い子育てから解放された安堵があったはず。切なさと共に、これで良かったと私も安堵したのは、同じ母親としての気持ちからです。

ステージの様子もふんだんに描かれ、レネー自身が歌声を聞かせてくれます。レネーの地声は、年齢よりも可憐な声だったと思いますが、この作品では太く豊かな歌声を聞かせてくれます。本物のジュディに寄せて、ボイストレーニングしたのだとか。劇中のレネーは、47歳どころか、60前後の女性に見えました。これも生き急ぎ、人より老生したジュディに寄せたのでしょう。ただのそっくりさんではない、愛を込めてジュディを演じていて、大変感動しました。

ゲイのカップルとの逢瀬、「私はドロシーの大ファンでした」と言う医師の場面など、大衆に愛された彼女の側面も盛り込んだ上での、ラストの「オーバー・ザ・レインボー」の合唱には、私も大泣き。ジュディ・ガーランドは、決して孤独で失意のまま亡くなったのではないと、私は解釈しました。

一見幸せとは程遠いジュディの晩年なのに、鑑賞後、私の心は温かい気持ちで満たされました。口を揃えて、良きママだったと語る異父姉妹のライザ・ミネリとローナ・ラフトも、きっと喜んでくれると思います。

03月24日(火)
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