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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ドント・ウォーリー」
それからのジョンの行動が素晴らしい。今までのネガティブな自分に向き合い、それを捨て去るのは、何と勇気の要ることか。人とは自分が生まれてきたことに感謝する事まで遡らないと、自己肯定は生まれないのだと痛感しました。生後間もなく母に捨てられたジョンには、過酷な道程です。でもこれは実話。実話の重みをここでも強く感じます。

ホアキンは障害前の薄汚さと弱さと哀しさ、傷害後の絶望と怒り、そこからの奇跡の転換、そしてインテリジェンスさえ感じさせる立派な風刺作家になるまでの道程を、素晴らしい好演。生来のアクの強さを見え隠れさせ、ラストには爽やかな好青年で締めくくります。

私がびっくりしたのは、ジョナ・ヒル。偉く美しいじゃないの(笑)。気品さえあります。痩せただけじゃない、彼ってこんなに美形だったの?と意外な眼福でした。代々の資産家で、存在意義の見つけられない高等遊民のような生活が彼の心を蝕んだのでしょう。ゲイである事が拍車をかけ、世間から逸脱した人にしてしまったのですね。穏やかな強い人が見せる弱さには、共感しかありません。

ジョンより物凄く小さな事で申し訳ないのですが、私も丁度一年前、左膝の半月板が断裂しまして、怪我をした当初は、もう痛みから解放されない、普通に歩く人生を失ったと絶望しました。三日ほどですが(笑)。発奮してその後病院を替え、リハビリに励み、リハビリ終了後は筋肉強化のためジムで水泳のレッスンを受け、金槌だったのに、何とこの年で人生初めて25m泳げる事に!膝のため6キロほど体重も減らし(もっと痩せなきゃ!)、今は断裂前より体力も付き、手術なしで健康体を取り戻しました。今出来ないと言うより、止めているのは全力疾走(軽くなら走れます)と正座だけ。それ以外は、主治医の「洋風の暮らしを心がけ、痛みはなくてもサポーターを外さず、自分の半月板が割れていると認識を忘れず、後は普通にして下さい」の、指示通りの生活を送り、現在快適です。

怪我をしていなかったら、頑張った後についてくる充実感は、手に入らなかったものです。なので、過酷は人生を克服していくジョンの様子に自分を重ね、何度も涙ぐみました。私だけではなく、たくさんの人が状況を変え、ジョンに自分を重ねられるはずです。

障害を得て失ったもの以上に、得るものを勝ち得たジャックの大逆転人生は、万に一つの事例でしかないかも知れない。でも万に一つは、自分にも出来るかも知れないとの、大きな光明になるはず。ラスト、子供たちと遊び、車椅子から転倒しても、底抜けの笑顔を見せるジョン。是非たくさんの人に、輝く彼の笑顔を観て欲しいです。

05月12日(日)
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