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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
マイケル・キートンはご存じ初代バットマン。ジリ貧とまで行かなくても、その後キャリアが尻しぼみなのは確か。役柄と重なる彼のキャリアに、野次馬的好奇心で観る観客を向うに回し、唸らせる様な熱演です。演じる事に熱中するあまり、人格破壊寸前の役者の悲哀を演じたナオミ・ワッツやノートンもお見事。少々お下劣なキャラのマイクですが、ノートンの好演あって、下劣さより狂気の中の悲しさを感じます。アップの多様で、誰一人として美しく撮られていなかったのに、私はノートンってハンサムだなぁと改めて感じました。ノートンは当代一の人気俳優役。この存在感、もっともっと評価されていい俳優だと痛感しました。一般人であるリーガンの元妻役エイミー・ライアンの落ち着きや、俳優たちの丁々発止の喧騒に、懸命に踏みとどまったマネージャー役のザック・ガリフィナーキスの頑張りが、一層俳優たちの哀歓を浮き彫りにしていました。
助演女優賞にノミニーのエマは、その喧騒に巻き込まれてしまったため、神経を病んでしまった娘サムです。彼女の大きな目は、いつも快活に輝くのに、今回は憂いがあって曇っており、ラストで初めて、彼女らしい輝きを見せます。あの輝きは、ハッピーエンドと捉えていいのでしょう。タビサの書いた批評の意味は、監督の映画への気持ちだと思いました。私が映画が大好きになったのは、ハリウッド大作からでした。この作品は、ハリウッドで巨匠となりつつあるメキシコ人イニャリトゥの、熱烈なハリウッドへのラブレターだと思います。
04月12日(日)
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