ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927528hit]

■「ブルージャスミン」
でも私はこの浅はかさを、とても笑えない。実の親を知らず大学を中退してまでハルと結婚したのは、必死で幸せになりたかったからのはず。妻の内面の未成熟さを、ハルもまた見て見ぬふりをしているうちに、浮気に激昂する、神経を病んだ妻を持て余すようになっていたのでしょう。いくら高価な装飾品をプレゼントしても、それでは妻を愛しているとは、言えないわ。ジャスミンの結婚生活は全てが虚飾だったのですね。有り余るほどのお金は、人を沈黙させてしまうのでしょう

細い体に似合わぬ、女としてのドスコイ人生を歩むジンジャー。ジャスミンの影響で、ちょい無理目の男にシフトしようとしますが、結局玉砕。首尾よく元サヤに収まる姿は狡猾ですが、手玉の取り方の見事さに、外見ほど軽くないんだと、ここはクスクス。でも天晴れですよ、相手も心底幸せにしているのですから。

エレガントでゴージャスな様子と、狂気じみた表情とを巧みに演じ分けたケイトは、圧巻の演技でした。脚本通りなのか、一度も知性を感じさせなかったところもお見事。サリー・ホーキンスは私はあんまり記憶にないのですが、こちらも本当に上手い。ケイト相手に一歩も引けを取らないお芝居です。オスカー候補になったそうですが、やっぱり私的にはルビタじゃないと思うけどなぁ。

天晴れだけど、私はジンジャーも幸せだとは思わない。そこには本当の男女の愛も、息子たちへの思いも見えてこないから。身の丈に合った幸せって何なんでしょうね。ジャスミンは夜に咲き誇る花だそう。早くジャネット(本当のジャスミンの名前)に戻りなさいと、太陽の下をラストシーンに選んだんじゃないかなぁ。多分違うけどね。そう思いたいです。色んな教訓を感じる作品でした。

05月18日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る