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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
永遠にこの日々が続くはずはなく。やっぱり悪い事してたら、目立つのはいけない。「アメリカン・ギャングスター」で、デンゼル様も言ってたでしょ?。ようやく事態を虎視眈々と見守っていたFBIさん登場。これが実に颯爽としていて、カッコ良かったのですね。年収49億円の大金持に対して、臆することなく年収600万の国家公務員が、ジョーダンから賄賂を見え隠れされても、バンと撥ね退ける。やっぱりね、正義はお金じゃ買えないのよ!(もうコロコロ気持ちが変わる)。この時のジョーダンの演出も良かったです。「こんな大きなクルーザーの上では、僕は007の悪役のようだ。あっはっは」と、大物気取りなのですが、ちょっとFBIに挑発されると、もう激昂。子供じみています。面白かったけどね。
ジョーダンと言う人は、頭の回転も良いし切れるのですが、隙もいっぱいなわけ。上記のシーンもそうだし、お縄になるよりは社長を引退して、片腕のドニー(ジョナ・ヒル)に譲ると言う案を飲んだはずなのに、社員を前に引退の演説していて気持ちが高ぶり、あえなく撤回。先は読めているはずなのに、売られた喧嘩は買うと言うか、負けが見えても勝負するのが男だと思っていると言うか(笑)。金の計算はするけど、人生の計算は度外視しているんですね。その割に変わり身も早く、危険を察知すると自分を一番大切にします。
ジョーダンを見続けていると、男性の本質って、これなのだなと感じます。とにかく本能に忠実です。それを突き抜けて描き続けるから、道徳感はガン無視、こんなに下品で猥雑、感動や成長も描かないのに、正直だから爽快で痛快なんだと思い当たりました。計算高い小賢しい男より、チャーミングですよね。
実はね、若い時は何度も同じ事を繰り返し、私を激怒させた夫なんですが、その時々に、本心から「悪かった」と思っていたのだと、ジョーダンを観て思いました。あれは忘れるのが早かっただけなのだと(笑)。素早い立ち直りに、何も反省してないじゃねーか!と、責め立てたもんですが、多分半日、いや一時間くらいは本当に反省してたんだと、やっと今納得しています。ジョーダンも前妻と別れて三日目にナオミと暮らし始めていますが、まるまる一日くらいは、猛反省したと思われます(笑)。
身から出た錆と、仕事の出来るFBIさんのお蔭で、ジョーダンの末路は想像通り。しかしあなた、ここでもすぐ立ち直る。印象的な「このペンを売ってみてくれ」のシーンが二回あります。それがどこで出てくるか、お楽しみに。ジョーダンの非凡なところは、反省すれども学習せず、ではなく、反省しなくて学習するところですかね?ただじゃ起きないぞと言うラストは、妙に元気が出て、嬉しくなりました。
とにかくレオが出色の出来!オスカーは大スターに厳しくて、古くはレッドフォード、現在ならジョニデやブラピなど、オスカーと縁のない俳優はたくさんいます。大スターの中でも、レオは作品の出来でも演技でも、常に抜きん出ています。作品選びの目利きも上手。愛嬌たっぷりに演じてくれたから、あんなキュートでチャーミングなジョーダンになったと思います。
助演ノミニーのジョナ・ヒルは全然悪くないですが、、個人的にはマコノヒーかチャンドラーだと思います。マコノヒーは主演でノミニーだから外れたんでしょうね。チャンドラーの宴の終わりの複雑な物思う表情が、作品を面白いだけではなく、引き締めていました。
原作もこんな感じなのかしら?スコセッシの最近の作品は全て観ていますが、どれも風格は感じても、私はあんまり面白い作品はなかったです。そんな自分の作品にイライラしていたのは、実はスコセッシ自身だったのかも?この生臭い男の一代記を読み、眠っていた男の本能が戻ってきたんですかねぇ。
もっと色々書きたいんですが、この辺で。オスカー発表がとっても楽しみです。
02月11日(火)
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