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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「アメリカン・ハッスル」
私利私欲ではなく、市長である自分の市のため、違法性を知りつつ汚職に手を染めるカーマイン。それは底辺の黒人やマイノリティーを救いたい一心からです。私はハメられる彼に、とっても同情しました。リッチーのしている事は「捜査」ではなく、アーヴィンたちがしてきた「詐欺」と同じじゃないですかね?これはアメリカでは合法の囮捜査を、暗に批判しているのかと思いました。手柄を立てたいがため、上司まで殴るリッチーですが(これ絶対病気だと思うわ)、シドニーに対する男心の純情も描き、一片の情けを見せる演出が心憎いです。
本家デ・ニーロがマフィアのボス役で、ノンクレジットで登場。老いた姿ながら、殺気も妖気も漂い、怖いのなんの。コメディ仕立てでお茶目な「マラヴィータ」とは打って変わった姿に、格の違いを見せつけられ、感嘆しました。
予測不可能なロザリンのお蔭で、着地が読めなかったのですが、痛み分けとも言える内容でした。カーマインの大らかな人柄に惹かれ始めたアーヴィンには、息子以外の良心が芽生え始めていました。結局人としての良心を失わなければ、自尊心を捨てずに済むと言う事なのでしょう。
ちなみに実話が元のお話ですって。でも多分脚色てんこ盛りの予想。優秀な人には目もくれず、ダメ人間を愛し続けるラッセル監督。きっと監督も同じような屈託を抱えて生きているのでしょうね。監督もまた、正直で愛すべき人なのです。
02月03日(月)
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