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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ハンナ・アーレント」
あぁそうかぁ、と納得する私。ハンナの講義に万来の拍手を送ったのは、アメリカ人学生です。戦争もナチスも知らない若い外国人たち。ここに、歴史から学べと言う意味があると感じます。苦い過去を繰り返さないため、ハンナのレポートは重要です。しかしあの時代は、まだ生々しくナチスの蛮行の傷跡を持つ人たちが、証人として大勢いた時代です。冷静に思考しろと言っても無理な事。ハンナの落とし穴は、人と自分は違う。その単純な事に気づかぬまま、自分の言動が多くの同胞を傷つけたと、思い至らぬ事だったのではないでしょうか?
ハンスの言葉で、傷ついたのは自分だけではないと、彼女は初めて思い知ったのでしょう。彼女が終生「悪の凡庸さ」をライフワークとして探求し続けたのは、どうすれば同胞にこの想いが伝わるか、贖罪の気持ちがあったのではないか?私は信念より、そちらを感じました。
歴史というのは、その時々に様々な立場の人の感情が入り乱れ、事実だけを見るのは難しい事です。ネットを読むと、まるで自分がその場に居たかのような記述に、危険なものを感じます。歴史に真実はなく、あるのは事実だけ、バッシングに耐え、信念を貫くハンナは、それを教えてくれたと思います。
01月12日(日)
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