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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「31年目の夫婦げんか」
名医か、はたまた詐欺師か?のフェルドの質問に、赤裸々に答える夫婦の言葉に、思わず聞き入ってしまったプロットがあります。妻はセックスを思い浮かべる時、夫と実際した事しか浮かばないそうで、これは私も同じです。セックスをしている夢も観た事がありますが、何故か相手はいつも夫。これはちょっと残念だなぁ(笑)。ところが朴念仁で唐変木のはずの夫は、近所の奥さんと3Pしたり、仕事場の机の下で、妻がオーラルセックスする事を妄想していたと言うのです。びっくりしました。男性の生理は、ある程度把握していると自分で思っていたんですが、そーですか、そーですか、勉強になりましたと言う感じです。私も夫に聞いてみよっと。

同僚に妻の変化を嘆いたアーノルドは、同僚から、「俺はそんな時、家から逃亡した。あの時花かアクセサリーでも妻に買っていれば、今頃ひとり暮らしはしていない」と言うアドバイスに従い、全然妻に似合わないピアスをプレゼントしたりします。一方こんなに寂しさが募るなら、一人で暮らした方がいいかも?と思いつめるケイ。へぇ〜、アメリカでも熟年になったら、夫は妻に捨てられるのが一番堪えるんだと、ちょっと感慨深かったです。

浮気もせず、一生懸命仕事をしてきたアーノルドは、この年代の男性のスタンダードでしょう。男性と言うのは、女性のように柔軟性に欠けるので、変化は好まないはず。おまけに鈍感(100回くらい言いたいわ)。だから妻は危機感満タンでも、「円満な夫婦に問題を起こそうとしている」なーんて、言えるんですね。でも唐変木で朴念仁のアーノルドは、自分なりにケイを心から(これは本当)愛しているし、根は誠実な良人です。その誠実さに惹かれたからこそ、ケイもアーノルドを伴侶に決めたのでしょう。ケイも愛しているからこその、危機感なのです。

観ていて感じたのですが、熟年で五年もご無沙と言うことで、アーノルドはケイだからダメだというのではなく(浮気もしてないし)、要するに「出来ない男性」になっていたんじゃないかなぁ?妻はそれをわからない。夫も言わない。と言うか、言えない。何も大金払ってカウンセリングしなくても、それほど険悪な夫婦じゃないんだし、話し合えば?と見えるかもしれません。でもね、夫婦二人きりなら、本音を隠して言い合いになって、喧嘩になりますよ。質問されるから、正直に答えるんだと思います。長年夫婦生活をしていても、ことセックスに関しては、デリケートなものだと思います。

とにかく名のある大俳優二人が、会話からセックスシーンまで、とにかく赤裸々でびっくり。しかも初々しいのなんの。二人共善良に生きてきたんだろうなぁ〜と、感じさせます。断ることも出来ただろうに、期待に応えた二人に好感が持てます。二人の実年齢が70前と65前後なんで、この年齢でもセックスレスを気にするか?と言う気になりますが(特にトミー・リーは、しわくちゃくちゃ)、役柄的には60前後と50半ばと思えば、全然納得出来ます。

ラスト、ケイが「愛するあなたとは、哀しい事に、二人で過ごす時間が残り少ない」と言うセリフが出て来て、思わず涙が出ました。そうなんだよなぁ。子供たちがやっと大人になり、自分たちの好きな事が出来ると思ったら、残り少ないんだよね。いくら寿命が延びても、健康でお金を稼げて、あちこち出かけられるのは、あと僅かなのです。このセリフが一番心に残りました。

夫婦とは二人で始まり、また二人に戻るもの。戻った時からが本当の夫婦かもなぁと、帰り道、今日の夕食は夫の好きなものをと、たくさん買いながら思っていました。必見!とまでは行きませんが、熟年夫婦で観るのも楽しいかも?の作品です。さぁ共感するのか、居た堪れなくなるのか、お楽しみに!

08月01日(木)
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