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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ / 宿命」
ロミーナはコフィと結婚。堅実に家庭を築き、誠実なコフィはロミーナとの間に生まれた娘と、きっと分け隔てなく接したはずです。しかし食卓で、ヒスパニッシュのロミーナ、黒人のコフィ、やはり黒い肌の妹に囲まれる様子は、白人の血の混ざるジェイソンだけは異質だと言っているようです。義父に愛されれれば愛されるほど、感謝はしても、その思いはずっとジェイソンの中に蟠っていたと思います。二度のアイスクリームを食べる場面の使い方も、「父」を感じます。

エイブリーが出世に意欲を燃やしたのは、その事で自分の秘密を払拭したいと思ったのでは?幸せを掴めたかもしれないルークの人生を奪った代償として、自分も家庭を顧みなくなったのかもなぁと、エイブリーが持ち続けるルークの写真を観て思いました。

自分の気持ちに落とし前を付けるための行動に出るジェイソン。彼と対峙した時、エイブリーはどうするのか?逃げ回った秘密から、彼はほんの少し開放されたかも知れません。エイブリーはAJに事の顛末を話したと思いました。それは父親は、息子には自分を超えて欲しい、そう願う気持ちがあるはずだからです。ラストのジェイソンの姿は、父親ルークの思いを受け止めたからだと思います。

ライアンVSクーパーの新色男対決は、直接対峙する場面は一箇所だけですが、私はライアンの方が好き。でも特権階級に属する人の苦悩より、底辺でもがく人の辛さの方が心に染み入るものなので、役柄的にはライアンに分があるかも。それでもライアンの作品はそれなりにたくさん観ている私ですが、この作品の憂いマックスの彼は、今までで一番素敵でした。

ストーリー展開より、ひとりひとりの登場人物の心に寄り添って観るのが良い作品です。様々な感情が刺激され、それでも人は生きていく、人生の素晴らしさではなく、重みを感じる作品です。

06月01日(土)
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