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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「愛さえあれば」
重要な脇役で、フィリップの亡き妻の妹アストリッデの存在が。でしゃばりで自信家、メンタルの弱い自分の娘より、フィリップへの片思いを成就させんがため、甥の結婚式を利用したい狡猾な女性です。彼女の存在は、いつも子供を中心に思うイーダとの対象なのでしょう。姉妹とは思えないとフィリップは言い放ちますが、実はこの義妹の存在が亡き妻の事を一層美化させてしまい、フィリップに妻を忘れ難くさせ、彼が独身を貫いた理由かも?そう思うと可哀想なキャラだなぁ。

アストリッデも決して悪人ではありません。誤解を恐れず言えば、イーダの夫ライフも。皆が皆、家族を喜ばそう、幸せになろうと努力しているのに、その事に疲れ果て、少しずつ心が離れては、またくっついたり。人生は非常に面倒くさく、でも愛しいものですね。

はてさてイーダとフィリップ、そしてマリッジ・ブルーの子供たちの行く末は?いつもいつも穏便な道を選んでいたはずのイーダの決心は、癌に罹ったと言う事実と、切り離せないものです。老いまで生きられるかどうかなんですから、自分に忠実な彼女に拍手を送りたくなりました。どんな道を選ぼうと、彼女なら、子供たちの母である事は忘れないはずです。

別荘はあちこちにレモンの木が植えられ、その風景は爽やかです。ソレントの風光明媚な街並みも、落ち着いた田舎町と言う感じで、ここで人々が人生の岐路に悩みながらも、路頭には迷わなかったのも頷けます。大人向けの上質なラブコメはなかなかお目にかかれない昨今、是非お勧めしたい作品です。ビア監督の新境地を、是非ご賞味下さい。

05月29日(水)
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