ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927705hit]

■「フライト」
ちなみに私はほとんどお酒は飲みません。そんな私がウィトカーの姿に怒りを覚えず共感までしたのは、理由を描かなかったからでしょう。彼は弱い人間です。私も自分は強い人間ではないと自覚があるからです。機長、飛行機事故という身近にはない題材にしながら、自分の身に引き寄せて考えられるのは、デンゼルの演技と監督の手腕だと感じています。

最後の最後まで自分はダメな人間ではないと、「偽りの誇り(ウィトカーの言葉)」を手放さなかった彼が、どんな着地をしたか?意外でした。そして涙が出ました。今の今まで、そんな気はなかったでしょう。しかし依存症とは、名誉の殉死と称えられても良いはずが、その事で、死して尚鞭打たれ、濡れ衣まで着せられそうになる。やっと目が覚めたのですね。彼の証言は、死者の尊厳を守るだけではなく、自分の「本当の誇り」を見つけた瞬間だったのかも知れません。

デンゼルだけではなく、ケリーの演技もとても良かったです。あの何とも言えぬ薄汚い感じは、依存症患者(とりわけ女性)特有のものです。彼女が断酒会に入り、仕事を見つけ、「変わりたい」と決意してからの変貌までを、しっかり演じていました。

ウィトカーとニコールが出会う場面で、ガン患者の言った「あなたは彼女と出会うために、事故が起きた」と言う言葉が深く心に残ります。そういえば、多分この患者もニコチン中毒ですね。私はお酒・タバコ・ギャンブル、そして依存的な薬もなし。でもこれだけ映画を観るのは依存症なのか趣味なのか?そしてネットの前にいる時間も、家族の誰よりも長い。う〜ん危ない危ない。自問自答したくなる作品です。

03月10日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る