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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「籠の中の乙女」
クリスティーナのせいで、下界への興味が止まらない長女。クンニを要求した事を父にばらすと脅し、ビデオテープをゲット。スクリーンには画面は全く映りません。何度も繰り返し見たのでしょう、長女が口真似で言うセリフから、映画は「ロッキー」「ジョーズ」だとわかります。この辺は私のような中高年しかわからんか。テープは三本あり、両親の結婚記念日に珍妙なダンスを踊る長女の様子から、もしかしたら「フラッシュ・ダンス」か?と思いましたが、これも当たっているようです。

映画(それもハリウッド大娯楽作)が決定打で、外へ出る決心をする長女。その様子がまた壮絶で。親が犬歯が抜けたら親から自立だと言うので、自分で折っちゃう。石で(ひえぇぇぇ!)。この子はどうも暴力的なところがあって、自分の欲望には例え血をみても突き進もうとするきらいがあります。

そして映画の原題の意味は「犬歯」。犬の鳴き真似を防犯訓練だと称して家族に強いる父や、訓練に出されている本当の犬がいて、如何に訓練が大事がを描いているので、「犬」はキーワードなのでしょう。父の家族を愛する気持ちは、大層歪ですが、これだけ労力掛けて手を掛けているところを観ると、彼なりに真実なのでしょう。だから犬と人間を混同して、犬のように愛しているって事か?クリスティーナに後背位を要求する長男は、「お父さんには言わないで」と懇願します。これはただのユーモアなのか?ジョン・ヒューストンの「天地創造」で、人類が人間として確立するまでは、性の営みは後背位ばかりだったのが、人間として成熟してくると、正常位となったシーンがありました。犬のような愛情で育てたから、犬みたいな恰好が好きだって事?でもそののち、長女とのセックスのシーンではまた正常位。二人は一応姉弟で、これも「犬並み」って事か?この辺は一応咀嚼出来ても、自信なし。

家を飛び出す長女は、外に出るのに父の車のトランクに入ります。家族が邸宅銃を探しまわるも見つからず。長女の代わりか、明日「犬」を連れてくると言う父。父の会社の前で車は停車し、その車を映して映画はエンド。BGMもなく、それだけ。へっ?「出して〜!」と長女はアクションも起こさない。監督、どうしたらいいんですか?勝手に想像してね、と言う事ですか?

という事で、ない頭をしぼる。例えばこの家族が本当に血がつながっているとしても、このような子育ては自我の目覚めを潰し、無菌状態は返って菌に対しての抵抗力を弱くする。幼稚園くらいから社会性を身に着けさせれば、あの子たちのような歪な性格にはならない。子供とペットと同じにしたら、あかんよ。だから長女は飛び出しても、どうリアクションしたらいいかわからんと言う、反抗だけして生命力に欠ける子になったのよ。このマジ○チ家族の崩壊は、案外普通の家庭でもやってることじゃなかろうか?

と言う結論に至りました(全然自信なし)。私のレビューじゃわかりにくいですが、とにかく笑えました。でも笑えない人も確実にいる作品。なので我こそはブラックユーモアを愛する者、と自認する方だけにお勧めします。カンヌが如何にも好きそうな作品です。

09月23日(日)
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