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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「桐島、部活やめるってよ」
前田君のキャラは、小説ではキネ旬を愛読し、岩井俊二のファンなのだとか。それが映画では映画秘宝を愛読し、ロメロのファンで大のゾンビ好きに変更になっています。これは大当りです。映画なんだから、絶対こっちでしょう!彼が出てくる度に、何を言ってくれるのか、ニヤニヤワクワクしました。屋上での、おずおずとした「謝れ」にも、いつもいつも下手に出ていた彼だったので、よく言った!と胸がすく思いでした。あれが言えるか言えないか、大げさに言えば前田君の人生を左右する出来事だったと思います。一大スペクタクルの屋上のゾンビシーンも、オタクの想像力の逞しさに、すんごくカタルシスを覚えました。

ラストの宏樹の涙には意表を突かれました。思えば彼は野球部を休部中、帰宅部のちゃらい連中とつるむも、最初から最後まで軽薄感のない子でした。野球バカのキャプテン(高橋周平)の存在も大きいのかも。「キャプテン、今度は・・・」と言いかけた時、今度の試合は出ますと、宏樹は言いたかったのだと思います。しかし純粋で鈍感、そして度量も大きいだろうキャプテンは、「応援でもいいから来いよ」と笑顔を向けます。宏樹が成りたかったのは、もしかしたらキャプテンじゃなかったのかなぁ。イケメンで優秀でスポーツ万能。だけど桐島を越えられない自分。何も考えず一心に野球に打ち込めるキャプテンが、眩しかったのかと思いました。

若い時は傷つき悩み葛藤すればいいんですよ。その先には、必ず喜びも楽しさもあります。人生は思い通りに行かないから面白い。私が息子たちにそう言えるのは、年を取った証拠です。でも私は言わずにはいられない。人生はね、思い通りに行かないから面白いのよ。思い通りの人生なんて、ちっとも楽しくないよと。登場した全ての子達に贈りたいです。

08月15日(水)
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