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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「テイク・シェルター」
サマンサは夫の行動に戸惑いながらも、支えて行こうと懸命です。時には怒りを爆発させますが、それは無理からぬ事。この辺もあまりに聖母のようだと嘘っぽいので、実に説得力のある賢妻ぶりです。「どこへ行ってきたの?」「ママのところ」「私も一緒に行ったのに」の会話は、サマンサも姑の病を知っているのでしょう。夫の背景を知りながら結婚したのですね。昼食会に遅れたカーティスへ、サマンサの家族は冷たい視線を送りましたが、それは元々気に入らぬ婿であったからなのかも?サマンサの慈愛深くも肝の据わった夫への接し方は、彼女もまた、自分の夫も発病するかもしれないと言う不安と、常に戦っていたからなのかと感じました。その日常が彼女を強くしたのでしょう。
カーティスは精神病なのか、それとも予知能力があるのか?物語は最後の最後まで引っ張ります。しかし予知能力があったとして、それまでの異常な行動は彼の日常を破壊し、社会人としては到底通用せぬ人間にしています。私はここが大事だと思うのです。なのでどちらに転んでも、カーティスは治療が必要な人だと思いました。
ラストについては、色んな感想があると思いますが、私は大いなる蛇足だと感じました。ちょっとでも希望が持てればそれでも可でしたが、あれではなぁ。あの前の段階を工夫すれば、もっともっと余韻のあるラストに出来るのにと、私的にすごく残念です。しかしラスト以外は丹念に主人公と家族を描き、娘が聾唖である事の意味も、きちんと心理的葛藤の材料にしてあり、文句のない脚本と内容でした。精神疾患に関心のある方には、とても興味深く観られる作品かと思います。
05月11日(金)
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