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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」
しかし平凡な女の幸せを手にしたとて、ボーヴォワールは幸せになったのかしら?お母さんは父親が亡くなったあと、重苦しく重厚な家から、陽光が燦さんと降り注ぐ、白を貴重の明るい家に引越し、活き活きします。男性から開放された証みたいに。でも実家から離れたボーヴォワールのホテルの部屋は、あの重苦しい実家そっくり。普通の強い女性である母とは違うということです。並外れた才能と叡智に満ちた彼女には、やはり同格かそれ以上のサルトルでなければダメなのでしょう。サルトルとて、自分に見合う女性はボーヴォワール以外にはいないと、確信があったのでしょう。自分たちの関係を保つため、他の女性に手を出して、二人の関係を保ったと言うのが、彼の言い分かな?あのサルトルとて、男としては「凡人」と言う事です。

ただ妻が同業者の場合、その成長や成功を素直に喜べない「夫」が多い中、ボーヴォワールの才知を認め、もっと大きく成長させようとしたところは、やはりサルトルの器は大きかったという事でしょうか?

私の好きな「シャネル&ストランヴィンスキー」でもシャネルを演じたムグラリスは、今作でも女性初の哲学者であるボーヴォワールを、ハスキーボイスも耳に心地よく、好演しています。アナの笑顔の少ない凛とした演技あってこそ、シャネルやボーヴォワールのような、才に恵まれた女性の哀しさが浮き彫りにされるのだと思います。

その他、第二次大戦のナチスのフランス侵攻、作家や知識人との付き合いなども挿入され、歴史的背景も描いています。フランスとアメリカの当時の文化の違いなど、私は面白く観ました。

ボーヴォワールの時代の女性は、一生仕事をするなら、結婚も子供もあきらめなければなりませんでした。でも今は違います。両方手に入れることが出来る時代です。ボーヴォワールが現代に生きていたら、どういう選択をしたかな?ちょっと興味があります。

12月15日(木)
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