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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブラック・スワン」
等々、つらつら考えて観ていると、もう映画を楽しむどころじゃーないわけ。血が噴き出したり生爪を剥いだり、悪魔が見えたり、本当は観客としては怖がらないといけなのでしょうが、もうこんな恐ろしい幻覚が見えるニナが、うちの患者さんたちと重なってしまい、可哀想で可哀想で。あんなのが現実に見えたら、本当に怖いですよ。早く病院に行きなさいよ、お薬飲みなさい。バレリーナとしては生きていけなくても、人としての人生があるのよ、と痛々しい思いで観てしまい、「あなたは病気なのよ!」と終盤で叫ぶ母に対しては、それなら早く病院に連れて行けよ、お前、母親だろう?!と、母としての未熟さに怒り心頭。作り手の思惑ダダはずれの感想へ、まっしぐらです。
ナタリーは、演技も上手だし良い女優さんだと思っていましたが、少々味気ないとも思っていたのも事実。そんな私のナタリー像と今回のニナはぴったり重なり、対照的な白鳥と黒鳥の場面など、鬼気迫るようで、とても良かったです。ミラ・クニスは今回初めて観ましたが、キュートにしてコケットリー、若々しいセクシーさが発散されていて、大好きになりました。小悪魔的な雰囲気で、性悪なのか、ただ奔放なだけなのか、ニナを悩ます様子も作品のアクセントとして、上手く機能していました。カッセルは年取って段々アクが減って、よくなったきた感じです。厳しく腕の立つ監督と、洗練されたプレイボーイの両方、きちんと演じていました。
そうだなぁ、母親は置いといて、例えばトマが、ニナを女性として開花させるのに、あんな手練手管を使わず、厳しくも「君なら出来る」的アメリカンな方法で彼女を鍛えたとしたら?ストレートに両手を大きく広げて、ニナを受け止めたら?結果は違っていたかもなぁ。誰でも支えてくれる人と環境が大切なんですよ。それは精神疾患に限らずね。結末はバッドではないけれど、やはり悲劇だと思います。白鳥=オデットに重ねているのでしょう。
他はもうちょっとバレエの場面が観たかったかな?でも「白鳥の湖」を持ってきたのは良かったです。ストーリーに踊り、音楽など、すごくポピュラーなものですから、門外漢にも理解出来ましたから。それとクレジットでウィノナの名前を発見して大ショック。役名を観てこれまたショック。全く気付かなかったの。あんなギスギスで花がなくなっちゃって、キャリアじり貧なんですねぇ。私生活を整えて、まだまだ若いのだから頑張って欲しいと思いました。
と、こんな感じの感想です。医療機関の受付は長いのですが、精神科は難しいです。入職した当初感じた事と今では、180度変化した視点もあります。自己満足な接遇になっていないか?常に気をつけなくちゃいけないし、他の科目では、すぐにどの患者さんとの距離感も掴めたのに、未だに手探りの人もいます。でも他の科目より、精神科の患者さんたちは大人しくて純粋だと、個人的には感じています。年長者でも「可愛い!」と思える人も多いです。やっかいな人もいますが、それはどの科目で働いても居ますから。そう言った意味では、疑似体験出来たので観て良かったと思っています。って、全然映画の感想ちゃうやん・・・。
05月19日(木)
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