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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「黒薔薇昇天」(神代辰巳レトロスペクティブ)
岸田森が圧倒的な存在感で熱演していて、これまた嬉しくてホコホコしました。私的には「怪奇大作戦」や「傷だらけの天使」が印象深い人ですが、カテゴリー「怪優」になるんでしょうか?この作品でも、当時まだ30半ばのはずなんですが、既に頭髪薄く哀愁を誘います。熱気と汗でその頭髪がべちゃ〜となると、怪しくてキモイ。でも「ファックこそ人間最大の崇高な行為!」と、なるほどと、丸めこまれそうな理屈を並べながら、やってることは「あんた、頭おかしいんちゃう?(byメイ子)」と、ほとんど詐欺師か山師なんですが、ブルーフィルムで芸術を撮るという信念は強く感じさせるので、可愛くてちょっとカッコよく見えてくるから不思議。
思えば当時は(今でもかな?)、ポルノだからエロ、巨匠が撮る性がテーマの作品は芸術、というのが一般的な風評だったはず。だから神代監督は、十三の口を借りて「ブルーフィルムで今村昌平はんや大島渚はんの映画みたいな作品を撮るんや!」と語らせたのでしょう。ロマポ監督の意地と気概が言わせたセリフだったのですねぇ。
それと印象深かったのは、「ブルーフィルムを芸術にするには、演じる女性は清潔でなければいけない」という、十三のセリフです。ポルノというと、下品なお色気を振りまく安い女優が出てくるような印象がありますが、それは違います。これもポルノはれっきとした映画だと、エロビデオと混同しがちな世間に向けての言葉なのかも。
ラストは艶笑話的ちょっといい話でした。あそこまでやりゃ関係ないと思うんですが、男性にとって、「イク」と「イカナイ」では大層違いのある事なんだなと、勉強になりました。いやほんまに。
たった一つ気分が悪かったのは、何かというと十三が女性陣の髪を引っ張り回して叩いたり小突いたりすること。暴力も愛情表現の一つみたいな、間違った認識が昔の男性にはあったようですが、これは絶対違いますから。幾代もこれに応じて、「あんたみたいな人、待ってたんよ〜」みたいなセリフが入り、正直ワタクシ激怒。これは教養のない盲想ですんで、努々お間違いなきよう。まっ、拙レビューを読んで下さる紳士諸氏におかれましては、関係ないことですね。
舞台が大阪だったので、昔の戎橋、チラッと映る南街会館、松阪屋の屋上の遊園地など、今はもう無くなったものばかり。わ〜、懐かしいと嬉しかったです。ロケではフィルムに入る人々がじ〜と俳優さん達を観ていて、ゲリラ的に撮ったのかしら?と、低予算の苦労も忍ばれました。ポルノというには、ファックシーンはそれほどなく、ストーリー重視で、女性も観易い作品でした。私は時間の関係で、この特集の他のロマポは観られませんが、21日まで特集はやっていますので、興味がおありの方は是非どうぞ。ヌーヴォですので、女性一人でも安心できる環境です。
谷ナオミは堪能しましたが、多分こんなもんじゃないんでしょうね。いつかきっと劇場で、「SMの女王」たる谷ナオミを絶対観るぞ!小沼勝特集望む!
01月04日(火)
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