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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「玄牝−げんぴん」

このポスター、無条件で可愛いでしょう?カンヌに愛されている河瀬直美監督ですが、私はどうも合いそうになくて、今までどの作品も未見。今回は自然出産がテーマということと、このポスターに魅かれてはるばる十三ナナゲイまで出向きました。知らなかったのですが、観た回の後に監督の舞台挨拶がありました。子育てのほとんど終わった三人の子持ち、そして未熟ながら医療事務という医療業界末端の仕事を持つ私は、この作品にはあまり歓迎されない観客だろうと予想しての鑑賞。監督は何とか公平さを保とうとして頑張っていましたが、予想は当たってしまいました。
愛知県岡崎市にある吉村医院。お産は自然たるべきという院長の信念の元、共鳴する全国から妊婦が集まってきています。四季を通じてその日常を映すドキュメンタリー。
江戸時代のような暮らしをしていると、全ての妊婦は自然分娩出来ると言う信念の元、「お産の家」と呼ばれる茅葺きの家に集まる出産前の妊婦たち。薪割り、掃除と称してのスクワット、田畑を耕す、一汁一菜の食事を取ります。もうこの辺からして、疑問がいっぱい。薪割りや田を耕すは、普通都会の人間はしませんよね?農業体験的生活を臨月になり、いきなり始める姿には、正直失笑しました。そういうことは、子供の時からやっていてこそ、初めて「良いお産」に通じるのでは?
スクワットも、家で家事をしっかりやってりゃ充分です。自然にそういう動作をしています。妊婦体操とどう違うのかがわからない。みんなでお散歩のシーンもありますが、それも一人で出来るでしょう?私の時は安定したら、とにかく歩けと医師からも先輩ママさんからも言われ、よく歩きました。ご飯だって、旦那さんと質素な食事を自分で作って食べれば済む事です。家で陣痛まで出来る事を、集団でなければ出来ないというのは、外野が煩いから?そんな事はないでしょう。
以前セレブ出産を扱う医院に勤めていたと言う妊婦さんは、それに否定的で、お産は自然であるべきだと強く思い、この医院を選んだと言います。しかし金銭的な意味では、ここも同じでは?お産にかかる費用は、出産から退院までで普通40万前後。そこには「お産の家」での費用は入っていないはず。少なく見積もっても5〜10万以上でしょう。ここだって、経済的に恵まれた妊婦しか出産出来ないはずです。これも対極なようで、形を変えたセレブ出産では?
ある妊婦さんは、病院でのお産でひどく人工的に介入されとても辛く、それがトラウマとなり子供が可愛くない、それで次の妊娠はここに来たと語ります。ごめんね、新米ママさん、私はここでも情けなくなります。私は次男出産時、逆児だった次男をカンシを使って経膣分娩。上記の妊婦さんと同じく、助産師にお腹もいっぱい押されました。その後胎盤が自然に出てこず、医師の手で掻きだされました。痛いなんてもんじゃない。大量出血して大騒ぎに。血圧は60-30となり、もう寒くて寒くて。ふっと寝てしまいそうになると、看護師さんから頬を叩かれ、「寝たらあかんよ!」「何でですか?すごい眠たいねんど・・・」と言うと「寝たらそのまま死ぬよ!」というお言葉が。25年前のこの時のことは、今でも鮮明に覚えています。
そんなお産でしたが、次男は普通に可愛く、三男はこの作品通りの自然分娩でしたが、別段上の二人(長男は予定日より10日早く破水したため、陣痛促進剤を使用)と違いはありません。私の妹はもっとお産に苦労して、二人とも帝王切開です。しかしそのせいで子供が可愛くないとは聞いたことがありません。というか、お産にトラブルは付きもので、たくさんのお母さん達から、その類の話は聞きますが、やっぱり子供が可愛くないとは聞きません。可愛くない理由は、夫婦間や他に理由があるのに、問題をすり替え安易な所に回答を求めたような気がしました。
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01月09日(日)
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