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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「アウトレイジ」
「仁義なき戦い」シリーズでも、「代理戦争」辺りになると、上半身裸の菅原文太が、墨の入った背中を向けて振り返ると、それだけでもう目がハートになってしまったワタクシですが、今回はもう絶対椎名桔平!今まで達者な役者だとは認識していましたが、今回はもう惚れ惚れ。忠実な大友の部下役なんですが、案外見せ場が乏しいのに、その少ない見せ場全てがマックスの存在感でした。やっぱり男は40代だね。他に目を引いたのはインテリやくざの加勢亮。メークで眉を薄くしたのが酷薄そうな印象を受け、役柄にぴったり。中々はまっていました。

彼以外でも、だいたいやくざの役やると、男優はみんな生き生きすんのね。男優はやくざ、女優は娼婦を演じると絶対上手く演じると言われますが、作家の勝目梓は、「同時期の中上健治の才能に打ちのめされた。その上彼には書くべき部落というバックボーンがあるのに対し、自分は何も無い。暴力とセックスなら、誰もが持つ欲望であるから、自分にも書けるのじゃないか?」と思い、純文学からバイオレンス官能小説にシフトしていったとか。
潜在的に誰もが持つものだから、娯楽に成りえると言う訳ですね。

こう言う事書くと、眉をしかめる「良識ある方」もいらっしゃるでしょうが、この悪党どもが尽く最後どうなったか、ちゃんと映画は描いているので、その辺まで読み取って下さい。娯楽であっても、決して暴力を賛美している訳じゃないから。

一か所だけ濡れ場がありましたが、女はほとんど記号扱い、名の知れた女優も、大友の愛人役の板谷由夏だけでした。その濡れ場も当人の心情が伝わる場面で、この手の作品にありがちな男性観客へのサービス的な女優の使い方はなく、これは一見女はいらずと見せかけて、監督の女性への敬意と思っていいのかな?女が殴られる場面はなかったし、一蓮托生ではあっても、男に泣かされる女もいませんでした。

と、このように日頃の憂さが吹っ飛ぶ作品です。別に目新しさはないけど、このアベレージ感+αは、幅広い観客を取り込めるよう、監督が当てに行った作品だと感じました。とにかく私はストレス解消出来て大満足。間違っても賞を取るような作品じゃないけど、私はもう一回観てもいいわ。感動させるだけが映画にあらず、迷ってる奴ぁ映画館に行くんだぜ、このヤロー!!!

06月17日(木)
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