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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「プレシャス」
なので私はもう少し母の背景を深く描いて欲しかったと感じました。そして母にも、救済が欲しかった。如何にも日本的な考え方かも知れませんが、それがプレシャス自身の、未来へも繋がる気がするのです。

モニークはコメディアンですが、そのせいか、鬼母なのに笑いを取るシーンが上手く、激情に駆られるシーンとの落差が、よりこの母の無知の哀しさを浮かぶ上がらせていました。ただの演技派が演じても、悲惨さだけが浮かび上がり、やり切れなかったと思います。

生活保護が増大し、児童虐待が世間を騒がせる毎日、ドロップアウトした子供たちが通うフリースクールなど、私はとても20数年前のアメリカの話だとは思えませんでした。プレシャスは生きている。でも彼女の年まで生きられなかった子供も、たくさんいるのです。「魂萌え!」の敏子が、虐待される子供のニュースを観て泣くシーンがありましたが、同じ経験があるのは私だけではないでしょう。そういう気持ちが、この作品を少し物足らなくさせましたが、力のある良質の作品であるとは、感じています。

05月10日(月)
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