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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「インビクタス 負けざる者たち」
この試合の結果を知らない方もいらっしゃるでしょうから、結果は書きません。終了後フランソワの語る言葉が素直に胸を打ちます。この試合でアフリカーナはいなくなり、全ての南アフリカ国民は「サウスアフリカン」となるという件は、やはり感動的です。劇中にも登場する、有名なオールブラックスによるハカ。元はニュージーランドの先住民族の闘いの前の踊りで、試合前にこれを踊ることによって、オールブラックスは強いのではないかと、セリフに出てきます。気合いでもありますが、言い換えればこれは「祈り」です。どんなスポーツでも地元開催は有利と言われますが、それは国中の「祈り」が通じるからなのだと思います。
家族と上手くいかない、発展途上国を指導する人にありがちなマンデラの私生活の苦悩もチラッと演出。本当は白人の犬だと中傷されたり、あちこちで血で血を洗う抗争もあったはずです。しかし映画は、マンデラのカリスマ的な人柄と求心力に力点を置いて描いていて、それはそれで爽やかです。企画を持ち込んだのはフリーマンだそうで、彼はマンデラの友人。そういった事情で、イーストウッドもちょっと遠慮してか、いつもの深層心理をえぐるような描写はなかったですが、巨匠だってたまには素直な感動作が撮りたかったのさ、と私は思う事にします。
マンデラのいた獄中を訪ねたフランソワが、何故このような劣悪な環境にいて、マンデラは報復を考えず穏健な政策が取れるのか?と考えます。私もいっしょに考えました。それは「負けない心」を持ち続けたからでは?勝つのではなく「負けない」のです。それは容易ではありません。しかも持ち続けることはもっと大変。しかし勝たないまでも負けないでいることは、いつか陽の当たる場所に這い上がれる日が来るということです。繰り返される自分の人生の指導者は自分だという、マンデラの言葉は、万人に響く事でしょう。ちなみに今の南アフリカは、黒人選手でいっぱいだそうです。
02月09日(火)
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