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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ココ・アヴァン・シャネル」
一人は求愛、一人は求婚。当時の価値観からしたら、二人とも自分の立ち場から考えれば、精一杯ココへの愛情を示します。シャネルは生涯独身でしたが、そこには妻になれない哀しさはなく、妻ではない自由を謳歌する姿がありました。しかし「私は一生結婚しないわ。でもその事をあなたといると、時々忘れるの」と涙する姿に、女心の痛みが表わされており、共感出来ます。こういうシーンがあるのとないのとでは、鑑賞後の感想は雲泥の差。繊細に手抜かりがないのに、感心します。

手始めは帽子のデザインから始まりますが、自分が何をしたいかわからないココ。まずは出来ることから一生懸命と言うことでしょう。とにかく働きたいという思いにも共感出来ます。当時は男性の庇護の元に暮らすのが幸せと考えられていたはずですが、きちんとお金も返し、男性は愛しても決してパトロンという立場にはさせないところも素敵です。

オドレイは今回本当に可愛くないのですが、細い体に男物風の衣装はギャルソンっぽく、豪華な衣装より数段似合っていました。目の下のクマや表情が年齢より上に見せる一瞬があり、そのままココの苦悩の深さを表わしていたのでしょう。「アメリ」の印象が強い彼女ですが、立派にフランス映画界を背負って立つ人になりつつあるようです。

パンツスーツだけではなく、パジャマ、ジャージの生地のポロシャツなど、働く女性たちは、シャネルから受けた恩恵は計り知れないなぁというのが、画面を観ていて思い知ります。ゴージャスやスウィートであるだけが命だった女性のファッションに、シックという言葉も組み込ませたのは、シャネルだったのですね。マスキュリンないでたちは、女性らしさを思いの外香らせるものです。まるでシャネルの生き方のようですね。

10月03日(土)
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