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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ミルク」
私が結論づけたのは、男性皆がゲイであることはないでしょう。それならば「少数の彼ら」を尊重するのは、許される事ではないかと。例えそれが自分の息子であっても。最大公約数から外れるからと攻撃するのは、賢いやり方ではありません。尊重すれば、必ず友好が生まれるものです。

オスカー受賞のペンは、いつもの油濃い熱演ぶりから、意外にあっさりとゲイのハーヴィを演じていてびっくり。しかし表面の可愛らしさと反比例するような、内面の男らしさを強く滲ませる演技で、良かったです。他の出演者の政敵ダン・ホワイトのジョシュ・ブローリンや、エミール・ハーシュ、ディエゴ・ルナなど、みんな良かったですが、何故この作品でブローリンがオスカー助演候補に?ブローリンがこれくらいの演技が出来るのは周知のことで、個人的にはホワイトの心の動向の掘り下げ方がやや浅く、ああいう行動に出たのは、イマイチ納得出来なかったです。

この作品で一番良かったのは、ジェームズ・フランコ。若者らしい無謀さを感じさせる出会いの頃から、ハーヴィを信頼し心から愛している様子が感じられます。スコットが知性も感じる誠実で落ち着いた大人に成長出来た理由は、きっとハーヴィとの恋だったのでしょう。相手を引き立て、自分も輝くというのは、演じ手としては難しいと思いますが、今回のフランコはそうでした。助演賞のノミネートなら、フランコにしてほしかったな。

画面からはゲイの人の情感は溢れていましたが、それ以上にパブリックに政治家として生きる信念が伺えて、私はとても「男らしい」作品だと思いました。濃密な空間はあっても決して濃厚ではなく、芯の強い作品でした。

05月17日(日)
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