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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「チェイサー」
ミジンは隠していましたが、幼い娘がいました。最初はヨンミンのことを、自分の使っている女性たちを他へ売り飛ばした奴と、恨み骨髄だったジュンホですが、母の無事を心配する娘を観ているうち、ただの商品であったミジンの安否だけが、彼の心を支配します。あの時ミジンは断ったのに、俺が行かせたのだ、この子から母親を奪ったのは俺だ、他の女たちも俺が行かせたから、殺されたのだ。ソウルの路地裏を走って走って走りまくるジュンホの心が、人間らしい悲しみと怒りと絶望に満ち満ちてくるのが、手に取る様にわかるのです。悪徳刑事ではあったでしょうが、やさぐれても、彼の心は決して悪徳ではなかったのです。それは人らしい感情を一切感じさせなかった、ヨンミンとは対照的でした。

全編馳走感たっぷりで、テンポが非常に良いです。間の抜けたユーモラスな場面なども随所にあり、目を背ける猟奇的場面の連続のあとは、それが良い意味で息抜きになりますが、心臓バクバクの緊張感はずっと持続します。こちらでは知られた俳優は出演しておらず、美男美女も登場せず。それが一層実話が元と言うリアリティ感をアップさせています。特にキム・ユンソクとハ・ジョンウは、「殺人の追憶」の時のガンちゃんとパク・ヘイル並の存在感で、強い印象を残しました。私的には久しぶりに既視感のない、傑作サスペンスでした。ディカプリオ主演で、ハリウッドがリメイク権を獲得したそうですが、レオが演じるなら、多分ジュンホでしょうね。それなら期待できないけど、ヨンミンならば期待感大です。

05月03日(日)
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