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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ジェネラル・ルージュの凱旋」
他にも救命救急のスタッフの慢性的な疲労感、己を支えている使命感なんかも、あんまり伝わってきません。唐突な犯人の出現はびっくりだし、伏線もほとんどなしなので、推理物としてのカタルシスが全くないです。えっ、この人あんなことして、お咎めなしなの?と疑問の人がいたり、冷徹な営繕屋っぽい事務長(尾美としのり)が我が身を振り返る理由も、あれではお安いなぁ。

しかーし!それらをカバーするのが、「笑顔で喜怒哀楽を表現する男」堺雅人の好演です。一見傲慢で、己の自己顕示欲のために周りを振り回しているような速水を、それだけではない含みも感じさせて演じ、タイトルの「ジェネラル・ルージュ」役に恥じない名演技です。諮問委員会での演技は、医師の医療への熱い正義を、余すところなく演じていたと思います。最初冷たい印象だった花房看護師長を、段々頬に赤みの差す、柔らかい女性へと演技を変えていった羽田美智子も好印象でした。主軸のこの二人の「ゲスト」がとても良かったのが、鑑賞後の印象をアップしました。

ラストにドクターヘリに乗って来た人は、原作者の大いなる皮肉かと。気骨あるお医者さんたちは、とうに国を見限っているんですかねぇ。全体にコクとキレは不足しています。でも発泡酒に例えるなら、まずまずの味かと。プレミアムビールはおいしいけど、値段が高くて買いにくいですよね。その点廉価版の、それも売れている発泡酒は、更に量販店でも値下げされるので買い易いし、そこそこ満足するでしょう?そんな感じの作品です。

03月09日(月)
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