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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「マルタのやさしい刺繍」
未来は確実に変わっていくのだということを、老人ホームの若い職員たちや、孫世代の柔軟な対応で表していて、それも嬉しかったです。忘れちゃいけないのが、お爺ちゃんたち。頭の堅い中年男たちを置いてけぼりに、お爺ちゃん世代が軒並みマルタたちに理解を示したのが印象的。昔の男は女房を大切にした人は少ないんですよ。それを隠居して地位や名誉のなくなった身になり初めて、妻の内助の功あってこその自分だったと悟るのですね。四人の中でたった一人夫が存命のハンニが、独善的だった夫を優しく受け入れる姿が、妻の自負を表していて清々しかったです。人生無駄な苦労はないですよね(と、自分に言い聞かせる)。

もう亡くなった患者さんなんですが、私が「この前息子と話してたら、『その話、前にも聞いたわ』って偉そうに言うんですよ。腹が立って『ほな、あと200回話したるわ!』って、言ってやったんです」と言うと、「お姉ちゃん、まだ若いから強いなぁ。私は息子にそんな口、もう何十年と利いてないわ・・・」と力なく微笑まれて、胸が詰まった思い出があります。その時私も30年経ったら、同じ思いを味わうのかと暗澹たる気持ちになりましたが、この作品を観て、そうはいくかい!とファイトが湧いてきました。「老いては自由気まま」。これが30年後の座右の銘になるよう、頑張りたいと思います。

11月24日(月)
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