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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「容疑者Xの献身」
その頭脳をもっと違う方に使って欲しかったという湯川に、「そんなこと言うの、お前だけだよ」と語り、「警察に法律違反をさせるのか?大したものだな」と微笑む石神は、決して皮肉を言っているのではありません。湯川の心を素直に受け取り、彼を誉めているのです。こんな真面目で良い人が罪を犯すなんてと、胸が締め付けられました。観客はきっと彼の17年間の孤独と寂寥感に、思いを馳せるでしょう。

そしてラストに今までの思いの丈を放出するかのような石神の涙に、私も号泣。場内すすり泣きがいっぱいでした。湯川は物事には何事にも論理があり、原因不明はないというのが持論の人らしいです。冒頭で、でも「愛は予測不可能」と言ってたなぁと思いだしました。石神には靖子の行動は予測出来なかったんですね。素直に感動しました。

肝心の福山雅治なんですが、存在感もほどほど、堤真一を立てて脇に回って受ける演技を心がけたようで、良かったです。素直で良い意味でアクのないところと、モノ欲しそうでないところが私は好きです。あんまり知的な匂いはないけれど、映画同様そつなく天才物理学者を演じているという感じです。この人が嫌いと言う人は、聞いた事がありませんが、それはきっと意識してピークを迎えないようにしているからでは?メジャー感をキープしながら、どこかサブカルの匂いを漂わせているのも、新鮮さを保っている秘訣でしょう。イケイケドンドンの若いころと違って、32〜3歳からは、意識的に仕事もセーブ気味のようで、上手く飽きられないようにしている気がします。本人の意思かブレーンの戦略か、どちらにしてもクレバーですね。

ところで原作の東野圭吾は、実は私の育ったところの隣町出身の人です。学年も四つ違うだけだし、お祭りの時はいっしょの神社さんに行ってたんだよなぁ。なので彼のエッセイで子供の頃に出てくる場面は、そっくり私の幼い時と重なるのです。その割には3冊くらいしか読んでないダメな同郷人なんですが、この作品の原作は是非読みたいと思います。

10月09日(木)
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