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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
そしてラスト。暗黒になったおもちゃ屋が、再び芽吹く映像はものすごく楽しくて、やっと魔法のおもちゃ屋の面目躍如でした。しかしそこまでくるのに、落ち込んでばかりのモリーを描くので、謎が隠されている木のキューブ一つで説明してしまうのは、とっても乱暴です。だってモリーは最初からおじさんの魔法を信じていたんですから。なので「さぁ自分(モリー自身)を信じて」というヘンリーの言葉のあとの激変は、無理があります。ここもモリーの成長か、ヘンリーが魔法を信じたからか、どっちつかずの描き方です。
自分が周囲の期待を裏切ったと落ち込むことは、人生には何度か出てくる場面です。しかし裏切ったものではなく、別の所に自分が花開く場所があるというのも、またしかり。挫折を乗り越え、人生は一本道じゃないんだよと言いたいと、私は受け取りました。しかし!要するにアイデアやプロットは良いのですが、詰めが甘いのです。想像力を掻きたてる演出が単調で雑なので、心が動かされません。本当に惜しいなぁ。
しかし演じ手は愛らしいファンタジーらしく、皆素直な好演でした。特にホフマンとポートマンの「子弟」の姿は、演出以上にお互いに敬意と愛を持っているのが伺え、しみじみします。私がとても印象に残ったのは、おじさんが次々と違う帽子をかぶるエリックに、「いい帽子だ!」と、絶対笑顔で褒めること。それがエリックに対する最大の称賛だと知っているのですね。他にもガラス越しで字で会話する場面に、人付き合いの苦手な人の不器用さを、愛を込めて描いていたところが好きです。
いい場面も本当にあったんですよ。ちょっと辛い感想ですけど、監督のザック・ヘルムはこれが初監督。元は脚本家です。良い脚本を映像化する難しさを一番感じているのは、監督かも。次回に期待します。モリーになってね。
02月20日(水)
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