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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「アメリカン・ギャングスター」
フランクとリッチーは、水と油のようで、本当はとても似ている気がします。仕事には忠実だが華やかな表舞台を避けたい。ワーカホリックのように仕事に夢中になり、足もとの家庭の綻びは省みない。そして本当はとても家族を愛している。部下や手下の心中を常に把握し、求心力があり、ヘッドとしての器がある、などなど。二人は言葉を交わし始めてすぐ、自分たちは同じタイプの人間だと感じたのではないでしょうか?
彼らの妻が似たような道を辿ったのは印象的です。自分たちの命が危険に晒され、しかしそれが夫の歯止めにはならないと感じた時、とても傷ついたでしょうね。フランクの妻は、プレゼントした毛皮を燃やした夫の心が、理解出来たでしょうか?
デンゼル、クロウ、両方とても好演でした。デンゼルは観客の目を引きやすいフランクを、実年齢より若々しく、かつ渋く貫禄を持って演じて、絶品の男ぶりでした。クロウは少し分が悪い役柄ながら、決して粗野ではなく知性も感じさせる熱血刑事ぶりで、こちらも堪能させてくれます。
ラストに向けてのサスペンスフルな展開は、アクション場面も交えてテンポよく進み、誰にでも納得出来るエンディングが用意してあり、脚本の練り方が上手いと思いました。
全編に70年代のブラックミュージックが流れ、当時の風俗やファッションがノスタルジックを誘うのが、息詰まる展開に、良い意味で息抜きになりました。黒人の利権を獲得するためのものが、結果安価に麻薬が手に入るため、底辺の黒人たちが蝕まれる様子を挿入したカットが秀逸。決してフランクの行いを正当化してはいません。
とにかく面白いです。アメリカの娯楽作は最近面白くないとお嘆きの御貴兄に、ぜひお勧め致します。
02月04日(月)
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