ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928247hit]

■「僕のピアノコンチェルト」
特に祖父のヴィトスへの接し方はこよなく自然で素晴らしく、孫であり最大の友でもあります。祖父として教えるべきことは教え、約束は大人と同じように守るなど、ヴィトスの人格を尊重する姿が、とても勉強になりました。

持ち前の頭脳で父の境地を救うヴィトスですが、この方法にはちと鼻持ちならない気分になります。しかしイザベルに対しての滑稽な告白の内容やこの方法こそが、ヴィトスの哀しみの根源なのでしょう。愛情の出し方がわからず、心で感じる前に頭が先に働いてしまうのですね。余裕尺々に見えて、本当はチリチリする自分の心が、本人もわからないのでしょうね。こういう天才児らしい演出で、親への愛を表現させるところなど、監督のヴィトスへの愛の深さも感じられます。

ラストのヴィトスの姿は、逃げても逃げても追いかけてくる彼の宿命を感じます。宿命というと因果なものに聞こえるので、人生の宿題かな?その才能が自分のため、世の中のためになることならば、必ずそのことを背負って人生を生きて行かねばならないと、私は思っています。そんな考えを後押ししてくれるラストでした。

ヴィトスを演じるテオ・ゲオルギューは、本当の神童ピアニストなんだとか。ともすれば小憎らしさが先に立つヴィトスの様子を、幼少期を演じたファブリツィオ・ボルサニの愛らしさとともに、理解と共感を呼ぶ素直な演技が、とても良かったです。また映画にも出て欲しいな。

12月08日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る