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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ミリキタニの猫」
ジミーはアメリカは大嫌いでしょうが、リンダは好きなのです。国が嫌いなら、まずその国の人を好きになればいい。戦争や植民地時代を挟み、長く確執のある国同志は、国がいやなら、せめてその国の人を拒むのだけは、止めなければならないと思うのです。

私の勤め先は小さなクリニックなのですが、患者さんは私が在日だとは知りません。在日の多い土地柄なので、患者さんが先生に「この辺はあっちの人(在日)が多くて柄が悪ぅて、しょうがおまへんな」と言うのが、受付まで時々聞こえてきます。先生方は私が韓国人なのはもちろん知っておられるので、「そんなことありませんよ。人それぞれですがな」と、フォローして下さいます。私は「あっちの人」と表現する患者さんの言葉に傷つくより、私を気にかけてフォローして下さる先生の気持ちの方が嬉しいです。その方が私の心の栄養になりますから。

今日の朝一番の新患さんは、中国の四か月の女の子の赤ちゃんでした。しっかりした話しぶりでしたが、少し日本語がたどたどしいお母さんは、来日5年目だとか。月齢が小さ過ぎて、あちこちで断られたそう。「うちの先生は診て下さいますよ。ベテランさんですから」というと、心底ほっとした表情でした。他の子供を連れたお母さんと、何ら変わりはありません。お父さん似で、男の子のようだというお母さん。「お父さん似の女の子は、将来別嬪さんになるっていうねんよ。」と私が言うと、すごく嬉しそうな笑みを返してくれました。日本の言い伝えが、中国の子には関係ないということは、ありませんよね。

確執のある国の今後は、若い世代の交流にかかっていると思います。ラストに流れた、ミリキタニが再会した姉の家族と写っていた写真が、それを物語っていました。姉の、丸々日本人の顔立ちの孫娘の、愛する御主人は、白人のアメリカ人でした。

10月23日(火)
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