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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ショートバス」
ただ苦言を呈せば、男×男のセックスシーンの方が際立って美しいのは何故?イケメン男子三人の3Pシーンも、ユーモラスな感じこそあれ、嫌悪感はありません。なのに男女間の方や、ソフィアの自慰シーンなど滑稽で少々グロテスクです。「エマニエル夫人」のようなファンタジックなエロシーンは、ふりつけありで美しく撮っているもので、本来のセックスなんて、やっている方は楽しいけど、観ている方はこんなもんだと思うのです。私には想像でしかありませんが、男同士だって滑稽でグロテスクなもんじゃないんでしょうか?
ソフィアのヒモ夫だって、無職で嫁に食わせてもらっていながら、セックスで絶頂感も与えられないとあっちゃ、もっと自分の男としての存在価値の無さに悶々となり、卑屈になるもんじゃないかと思います。ちょっと悩んでいますどころの騒ぎじゃないと思うけど。
ソフィアの焦る気持ちは充分同情出来るよう作ってありますが、彼女がどんどんブスになっていくのはいかがなものか。それとソフィアの場合は夫だからオーガズムを感じないのではなく、今まで一度もオーガズムを感じていないと言うのが問題の争点なわけです。その辺の描き方が曖昧な気がします。ちょろっと厳しかった両親を匂わして、彼女の精神的な背景は終わりというのでは、バイブや大人のおもちゃを本当に挿入してまでソフィアを熱演していたリーが気の毒な気がしました。ゲイの男性陣が、一を描けば十わかる的を射た演出だったのに比べたら、ちょっと物足りません。これは監督の特性を考えたら仕方ないんでしょうか?
とは言え、ノーマルな性から少々外れた人々を、暖かく包み込むその様子に、最後はジーンときて涙まで流した私でした。考えてみればセックスは一人では出来ないもの。一人ぼっちではない自分を確認するのは、人としてとても大切なことなのだと、セックスシーンではなく服を着た彼らから教えてもらいました。誰彼なしに勧められる作品ではありませんが、テーマは決してキワモノでもイロモノでもありませんので、ご安心を。
09月05日(水)
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