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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「フランドル」
一人輪姦には加わらなかったブロンデル。デメステルもバルブを愛していたし、他にも国に恋人がいる兵士も輪姦に加わっています。何故彼だけが?私は事前にバルブが彼の子を宿しているという手紙を送ったからだと思いました。自分の子を宿す女性が待っている、自分は父親になるという感情が、ブロンデルを抑制させたような気がします。戦場であっても理性を保つことは出来ると表現していたように思います。「蟻の兵隊」で感じた、気の毒なおじいさんたちへの私の嫌悪感を、後押しされた気がしました。

一方平和な村にいるバルブは、子供が出来たとブロンデルに知らせながら、また若い男と関係を持ち、子どもは堕胎すると言います。統一性のない精神状態に、彼女は精神病院へ入院させられます。彼女は村にいながら戦場で興ったことが見えていたのでした。この表現の仕方は、私はバルブが神に選ばれし少女だったとしか解釈出来ませんでした。出征していく兵士に体を与えるというのは愛、戦場が見えてしまうで、ブランデルの死が知らず知らずに予期出来てしまい、子どもを産まない選択をしてしまう。この出来事は彼女の精神異常に拍車をかけてしまいます。そして彼女がお腹の子がブロンデルの子だと確信したのは、彼女がブロンデルを愛していたから。それがカフェの車の中での、劇中一度だけ聞く彼女の悦びの声だったかと、気がつきました。受胎の神秘も感じさせるのですが、この辺すごく解釈が難しいです。

精神病院で主治医に向かってバルブが罵りの言葉を吐くのですが、私がわからなかったのは「この私生児が!」です。相手は男性医師でしたが、とても傷ついていたようでした。この意味はなんなんでしょうか?

たった一人戦場から帰郷したデメステル。数々の心に傷を負ったぼろぼろの彼は、初めてバルブに対して愛を告白します。それに応えるバルブ。最初、自尊心のためか愛を告白出来ないデメステルを観ていたので、この告白はとてつもなく重みがあります。この作品のテーマは、人が持つ根源的な暴力と性を描きながら、犯した罪は赦されるのか?と言ったものだそうです。私は忘れるのではなく、一生自責の念を抱くからこそ、赦されるのだと思いたいです。

06月27日(水)
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