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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「蟻の兵隊」
最初と最後に映る靖国神社。右翼らしき人の「次の戦争では負けない日本であるように!」との演説に、正直笑ってしまいました。”次の戦争”ですか?古今東西、小説でも映画でもテレビでも、戦争は勝者敗者に関係なく、両方が深い傷を負うものであると説かれ、ほとんどの人が認識していると思っていた私は、まだまだ自分も甘いなと感じます。
その靖国でにこやかに演説していたのは、あの小野田寛郎さんでした。かの右翼の人の演説の直後なので、彼も同じなのかと少々失望する私。この辺は演出ですね。その小野田さんに奥村さんは近寄り、「あなたはあの侵略戦争を美化するのですか?」と言い寄ります。すごい剣幕で言い返す小野田さん。なんかとても作偽的。だって心底悔恨しているように見えない人から、いきなりそういうことを言われてもなぁ。この辺は描き方が散漫になっている感じがします。
奥村さんも小野田さんも、同じように戦争では加害者でもあり、被害者でも合った人です。戦後60年、何故これほど袂を分かつ思考に至ったのか、中国人はみんなイイ人を描くより、この辺を掘り下げた方が、もっと戦争というものの本質に近づけるように、私には思えるのです。
ふとドクなら、奥村さんと同じ立場でも、やはり黙して語らず、一生を閉じたのではないかと感じました。しかし決して観て損をしたという作品ではなく、戦争を体験した人から学ぶことは、やはり多いのです。それが一番「次の戦争を絶対起こさない」ための近道だと思いますから。
03月03日(土)
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