ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928363hit]

■「トゥモロー・ワールド」
キーの抱いている赤ちゃんの泣き声で、死んだようになっていた人達が立ち上がり、武装した兵士たちが銃を撃つのを止め、道を作るのです。延々写された哀しい戦闘描写から一転した素晴らしい演出に、止め処もなく涙が止まらない私。なんてすごい演出かと思いつつ、ここに監督の「信念」が込められていたのだと思います。

18年目の出産が、父親が誰ともわからない、有色人種で不法入国者のキーから生まれたことは、深い意味があるのだと思います。人種を越え地位を越え、誰から生まれたのか、そんなことは小さいことなのです。生まれ来る子は、等しくみんな祝福され、親以外の人間からも守られて当たり前なのです。ジュリアンやジャスパー、セオだけではなく、助産師だったミリアム、ホームレスまがいで狡猾に見えたマリカが見せた、キーへの思いから、私たちは学ぶべきことがたくさんあるように思います。18年生まれてこなくなって、その時知っても遅いですから。

クライヴ・オーエンは観る度違う役で、どれもこれも上手くこなしながら、カメレオン役者ではなく、絶対クライヴ・オーエンなのが、スター俳優として実力と華を兼ね備えている証拠かと思います。ジュリアン・ムーアは、もうちょっと観たかったな。キーの乗るトゥモロー号、私はセオたちの「信念」を引き継いでくれる船だと信じたいです。

つけたし
出産シーンについて。映画的には全然OKなので、これはツッコミではなく、ご参考まで。出産は赤ちゃんが出てへその緒を切ったら終わりではなく、その後またいきんで胎盤も出します。この胎盤が出てこなかったら、大変です。私は次男の時がそうで、医師の手で掻き出されました。そういう場合だいたいが大出血になり、私も出産直後の血圧が、60−30でした。そう、死ぬ一歩手前。冬だったのでガンガンストーブを炊いた分娩室で、一人寒いを連発し、気を失いそうになると、看護婦さんから頬を叩かれ、「寝たらあかんよ!」「何でですか?」と聞く私に、「そのまま死んでしまうから」。思考が止まってしまっているので、ああ、そーかくらいしか思いませんでしたが。子宮を早く収縮させるため、お腹に乗せた氷嚢が冷たいのなんの。入院中に輸血もされ、これがまた熱出したり、しんどいのです。輸血の件はその後エイズやらC型肝炎など、ずっと気にしていましたが、幸か不幸か、4月の手術の術前検査のおかげで、問題なしが判明しましたが、このように、お産が大変だと、後々まで響くもんです。皆さん、身近な妊産婦には親切にしてあげて下さいね。

11月22日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る