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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「プルートで朝食を」
キトゥンは「真剣」という言葉を嫌います。この作品の背景にはアイルランドの独立運動が描かれています。「真剣」に国を思った結果が、殺し合いだったり、市民を巻き添えにする惨事だったり。「真剣」に考えてそんなことするくらいだったら、もっと目の前の壁を克服するとを考えてちょうだいと、彼は思ったのかもしれません。社会的な差別を受けているであろう仲良しの黒人系(中東?)のチャーリーや彼が、運動に携わらない姿に、それが表れているように思えました。

確かに物事は「真剣」に考え過ぎると、寛容さがなくなるものです。オカマや未婚で妊娠した高校生、女性を愛した神父が許せない、町の「善良な人々」を見て、「スタンドアップ」の、シングルマザーで子供を産んだ、ジョージーのママのセリフが思い起こされます。「あの子が銀行強盗をしたの?子供を生むのがそんなにいけないことなの?」。真剣すぎると真剣さに振り回され、人は一番大切なことを見落としてしまうのかも知れません。

「シュガー・ベイビー・ラブ」「子犬のワルツ」など、当時のイギリスのヒット曲がバックにふんだんに流れ、真剣に考えればとっても悲惨、でも本人はとってもエンジョイしているキトゥンの人生を、カラフルに彩ってくれます。とにかく楽しくて元気が出る作品。キリアン・マーフィー一世一代の名演技とともに、是非楽しんで下さい。

08月14日(月)
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