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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「スーパーマン・リターンズ」
お久しぶりです。猛暑と末っ子の夏休み、私の仕事増量、ついでに手術後初めての夏と、苦行が二重三重にとぐろを巻いた今年の夏、あの根性はどこへいったんだ?の日々で、やっと今月四本目です。予告編を観た限りでは、そんなに期待していなかったのですが、なるほど、監督のブライアン・シンガーが彼の代表作「X-MEN」シリーズを蹴って監督したのも肯ける出来。前作シリーズに敬意を表しながら、哀しみも愛も痛みも知る、シンガーらしい「スーパーマン」となっています。
自分探しの旅から地球に帰還したクラーク・ケント=スーパーマン(ブランドン・ラウス)。育ての母ケント夫人(エバ・マリー・セイント)のいる懐かしい”地球での故郷”に立ち寄り、運良く欠員の出た古巣デイリー・プラネット社にも復帰出来ました。社には彼の恋人であるロイス・レイン(ケイト・ボスワーズ)が花形記者として大活躍中。しかし彼女は既に一児の母となり、家庭も持っていました。愕然とするクラーク@スーパーマン。孤独と闘いながら、スーパーマンとして大活躍する彼の前に、かつて彼の手で牢獄に押し込めたレックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)が出獄、再びスーパーマンとルーサーの死闘が始まります。
何たってかんたって、観よ画像!(↑)懐かしのクリストファー・リーヴのスーパーマンにそっくり!(←はリーヴ本人。
全体の姿も探したのですが、これが見つからず申し訳ない)。初作の内容は覚えちゃいないが(私よ、私)、でもリーヴのスーパーマン姿の勇姿は目に焼きついているという人は多数でしょう。リーヴという人はその後秀作「ある日どこかで」などでも非常に印象的でしたし、落馬事故から半身不随になり、障害者として生きる姿を世間に公表し、世界中の映画ファンから敬意を集めた特別な人でもあります。そんな大衆心理をきちんと踏まえたシンガー監督が強力に推薦したラウスは、懐かしの音楽を背に、見事に期待に応えた演技で、観客に懐かしさと新鮮さを感じさせ、違和感なく観る者の心に溶け込んでいきました。
掴みは完全にOKなところへ、最初の見せ場はフライトトラブルです。「ユナイテッド93」「ワールド・トレードセンター」など、9・11モノが目につく今年の特徴も上手く取り入れ、初公開時では描けなかったスケールアップの演出で、見応え充分。そしてハラハラドキドキの後、ほどなくスーパーマンとロイスの再会を持ってくる順番も上手い!その他、地割れ、停電によるパニック、自動車事故などを救う数々の見せ場の、他の誰でもないヒーロー、「スーパーマン」らしさの表現も上手だったと思います。
二人の恋心を見え隠れさせながらのラブシーンは、大人の純情とでもいうべき叙情に溢れた純粋さと清潔感に包まれて描かれ、好感度大。ロイスのパートナーがある身である自分を自覚しての慎み深さも、好ましかったです。ケントの時の彼がメガネを落とし、そばのロイスが顔も見ないでケントにメガネを渡すのですが、それを受け取ったケントが、ためらいつつ、数秒間ロイスが自分に顔を向けるのを待つシーンが秀逸。ヒーローモノで、こんなクラシックな恋心を見られるとは感激でした。
スーパーマンは人間ではありません。超人的な能力を世のため人のために使い人々の雨あられの賞賛を受けても、彼を待っているは孤独です。心の拠り所であったロイスは人の妻、ぽっかり大宇宙に一人浮かぶ彼の寂しげな姿は、壮大な使命を持って生まれた者の哀しみと、愛を失った痛々しさに溢れていて、思わず彼を抱きしめた思いに駆られます(大きすぎて無理)。
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08月25日(金)
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