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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ダ・ヴィンチ・コード」
解読に協力するリー・テービングを演じるイアン・マッケラン、オプス・ディの信徒シラスのポール・ベタニーは光っていました。でも彼等も描き方に不満があります。(これも後で)。よく原作物は、わからなければ原作を読めと言われる方がいますが、原作と映画は別物。読むとどうしても比較してしまいますが、原則は映画は映画で理解出来るように作られて、しかるべきだと思います。原作を読まないとわからないなんて、それは反則です。もっと大胆に削って、これは外せないと思った箇所を掘り下げたら良かったと感じました。この作品は日頃映画館に縁のない方も取り込むような、メジャー系拡大公開の娯楽大作のはずですが、キリスト教にも暗号解読などにも知識の乏しいだろう一般の日本の方には、あまり面白い作品ではないと感じました。


では付録のネタバレ 原作との比較**********






シラスの所属するキリスト教集団オプス・デイは本当に存在します。原作では同じキリスト教を信仰するのに、異端視され迫害される様子が描かれ、撮った行動は良くないものの、同情心も湧きます。映画で描かれたように、肉体にキリストと同じような痛みを感じて修行するようです。シラスは色素欠乏症で、そのため父親から疎まれ家庭の愛を知らず非行にも走ったのですが、巡りあった同集団のアリンガローサ司教(アルフレッド・モリナ)から手厚い愛情を注がれ、彼の元修行に励むようになります。この師弟の結びつきの暖かさと絆は、私は原作で一番好きでした。彼等の過ちに対して同情も湧きました。映画の演出でわかるかな?あれではシラスはただの変質者、オプス・デイもただのカルト集団です。

リーも人生の全てを注いだといっても過言でないほど、聖杯探しに情熱を注いでいました。彼の行動もまた×ですが、その狂信的な姿には少し哀れさも感じます。映画ではただの悪党ですよね。

ファーシュ警部も原作ではオプス・ディの信徒ではありません。あんな密告一つで犯人を決め付けるなんて、宗教って怖いなぁとの思いだけが残りますし、フランスの警察にも失礼ですよね。原作のファーシュは狡猾でちょっといやらしい人ですが、愛嬌も感じられる面白い人です。

原作では、ソニエールとソフィーは実の祖父と孫です。ソニエールが総長を務めたシオン修道会で執り行われた儀式は、「アイズ・ワイド・シャット」で描かれた、乱交もどきのものです。私は「アイズ〜」を観た時、もったいぶった乱交パーティだと思っていましたが、この原作の描写を読んだ時、真っ先に浮かびました。ソニエールとソフィーが仲違いした原因は、祖父に連絡せずに留学先から自宅に戻ったソフィーが、この儀式を見たためです。彼女が昔の祖父を懐かしみ慕う心と、嫌悪感が交錯し葛藤する様子は、血の繋がりの本質を描いていて、心に残るものでした。

そしてソフィーが目にした祖父の相手というのが、実は祖母である祖父の妻。原作では祖父がソフィーを、祖母が弟を引き取り、キリストの血を守るため、仲睦まじかった夫婦が別れ別れに暮らすのです。だから乱交パーティだと思っていたものは、実はとても愛のこもった行為であったわけ。映画だけの方には、あの描写でも不満はなかったかもです。でも私は原作では、これだけのモノを犠牲にしても、孫を守りたかったソニエール夫妻の愛に打たれ、そのために多くの犠牲者が出ていることに目が向きませんでしたが、映画の方では、そんなに大事に守らなくちゃいけないことなのか?と疑問に思いました。それに直系って、普通は男子ですよね?マグダラのマリアの生んだ子は女子で、その解釈もおかしい気が。原作も女子だったかしら?失念しました、すみません。

05月25日(木)
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