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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ロード・オブ・ウォー」
しかし、弟は甘ちゃん、妻にふん!と思いながら観ている私も、メチャメチャ面白いと思って観ているのですから、これは結構な「人でなし」です。「男たちの大和」を観てビャービャー泣いたのが、ちっとも生かされていない。生かされていたら、もっとこの作品には嫌悪感が募っていいはずなのです。

結局は私もヴィタリーや妻といっしょ、いやそれ以下な訳です。戦争はいけないと言いながら、巻き込まれることのない場所でぬくぬくして、害がないのでちゃちな正論しか言えない自分に、はっとしました。それが監督の狙いだったんじゃないでしょうか?

自分の妻子に去られ、親にも縁を切られても信念で天職を全うするユーリーですが、彼が罪悪感から数々の悪夢を見る場面は印象的。彼も人の子だということです。ハイエナに囲まれるところは、自分もそうだと思っているんですね。この場面のおかげで、救われている気がします。

イーサン・ホークは、つまみ食いのため大物美人女優のユマ・サーマンに三行半を突きつけられ、もうしょぼくれるのかと思っていましたが、とっても渋くて素敵になっていて、ヨカッタヨカッタ。バレンタインの実直な正義感も歯が立たないユーリーですが、毒は毒を持って制すしかないんでしょうか?面白かったけど、自分を少し恥じてもしまう作品です。監督作「ガタカ」、脚本作「トゥルーマン・ショー」など、切ない誠実さが美しいと感じ、大好きになったニコルですが、進歩も成長もしているのを感じ、この人にもついて行こうと思いました。

01月13日(金)
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