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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「SAYURI」
借金は払い終わっているのに、金のない男を愛したため旦那を持たず、男と禁断の逢引を重ねながら身を立てている憎まれ役の初桃の方が感情移入出来ました。コン・リーはよくこんな憎まれ役を引き受けたなと思いますが、彼女のさすがの好演のおかげで、芸者として生きるやるせなさやが、千代に向かっての八つ当たりなのだと納得させます。幼い時から輝きを放つ千代を今からつぶそうとしている様子に、芸者の世界の厳しさも伺えました。
日本からの出演者は総じて無難に演じています。ベテランの中、一番印象に残ったのはおカボの成長時を演じた工藤夕貴。長年粘って海外で頑張っているだけあって、少ない出番ながら戦前と戦後のおカボの変貌を演じ分けていました。しかしこのおカボという名前、かぼちゃの意味なんです。始終彼女を呼ぶとき「パンプキン」と連呼され、日本が舞台の映画でどうして日本の誇る国際派女優がかぼちゃ呼ばわりされるのだと、すっごーく気分が悪いです。他のチョイ出の芸者もアジア系の人が多いのに、かぼちゃが日本人とはいやみなの?
会長役の渡辺謙は私はそれほど魅力的に思えず、ただいい人にだけ感じ、内面の説明は渡辺謙の演技力と外観に頼った感じです。役所広次も儲け役だと思うのですが、役柄の延という人物の描写がイマイチ甘く、感情移入出来ません。桃井かおりはやり手の女将を、桃井かおりのまま演じており、英語でもいつものセリフ回しなので、やっぱり大物なんですね。
ラストのオチは、私はびっくり。なんじゃこりゃ?でした。今まで何をこんな回りくどいことをしていたのだと思いました。でもハッピーエンドで良かったと思う方もおられるようで、単に私の根性が腐っているだけかも。だから出来を見極めようなどと、不遜な思いを抱いて奇天烈のはずの英語版で観たのかもなぁ。これからご覧になる方は、私のように意地悪く英語版で鑑賞せず、しっくりしそうな吹き替え版が良いかもしれません。日本の役者さんたちは自分で吹き替えているそうです。
12月14日(水)
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