ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928098hit]
■「火火」
異色の母物です。監督の高橋伴明は清子に実母を重ねたとか。直球と言うより剛速球で神山清子という人を描いています。彼はお母さんが好きだったのだと感じました。演じる田中裕子はとにかく素晴らしい!華奢な体から、陶芸家の業と母親の強さが全身から発散しているようでした。とにかく子供を罵る母なのですが、そこに暖かさ哀しさを滲ますのは、並大抵の演技力ではありません。勝手に今年の主演女優賞は彼女だと決定してしまいました。
一つだけ気になったのは、賢一臨終のシーンです。危篤状態の患者は個室に移されるはずなのですが、そのまま相部屋で迎えました。臨終の際には家族だけで迎えられるよう、また他の患者にも動揺がないようどこでもそうだと思うのですが。原作ではどうだったのでしょうか?他には何も疑問のない筋運びだったので、ちょっと気になりました。
昨今子供には良き言葉「ばかり」で接するようにと、盛んに言われますが、賢一の頑張りは、母の浴びせるキツイ言葉を自分の中で浄化して、叱咤激励にしたからだと思います。もちろん意味なく子供に暴言を浴びせるのは言語道断ですが、世の中は汚い物だらけ。子育ての理想ばかり追い続けるより、賢一のように言葉の真意を汲み取る力も必要だと、些細なことでも「言葉の暴力だ」といきり立つ人に、監督はやんわり諭しているようです。
もうびゃーびゃー泣きます。ハンカチでは足りません。しかし母物+不治の病で何故にこんなに迫力あるのか狐につままれたようです。この作品を観て感動したのだったら、やっぱり骨髄バンクに登録せねばと検索しましたが、私は次男の出産時、大量出血して死にかけた際に輸血しており、該当外でした。他にもガン・心筋梗塞・糖尿病の病歴がある人、また家族にいる人もダメで、なかなか審査は厳しいようです。私はダメでしたがこの作品を観て、一人でも多く登録者が増えることを祈ります。
03月04日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る