ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928212hit]

■「きみに読む物語」
しかし夫婦すべてがお互いそんな存在になれるかというと、これはすごく難しいです。結婚すると言うのは、私は縁だと思っています。この物語のように、切ても切ってもお互いが引き合うこともあるし、何の障害がなくても結ばれない二人もいます。そんな結婚を維持するのは、式までこぎつけるよりもっと努力もエネルギーも要ります。それは片一方だけではダメですし。何年か前、近所の78歳の方が亡くなりお通夜に出向いた私に、娘さんは「あんなに母に苦労をかけた父が、すっと逝って初めて妻孝行しました。」と仰ったのに対し、奥様は「手のかからない人で、いい人でした。後5年は生きてくれると思っていたのに・・・」とお泣きになり、夫婦には他人はおろか、子供でもうかがい知れない歴史があるのだと思いました。そのことを、ノア夫婦の子供達やアリーのお母さんを見て思い出しました。

冒頭ノアの「私は何の自慢も取り得もない人間だが、一人の人を生涯愛したということだけは私の誇りだ。」と言うようなナレーションが入るのですが、これがこの物語の全てではないかと思います。普通の平凡な人が誠実に誰かを愛し晩年まで生きる、「真心」を描きたかったのだと感じました。ラストシーンは、仲良く暮した老夫婦は、きっと皆願うであろう出来事で終わります。

末期の痴呆症にしては、ローランズがちとエレガントで綺麗過ぎる気もしますが、あんなに素敵なガーナーに生涯愛される役ですもの、これは映画なんだから固いことは抜きということで。監督はローランズの息子のニック・カサベテス。息子から見て、彼の両親(父はジョン・カサベテス)はきっと素晴らしい夫婦だったのでしょう。出来ればちょっと甘口で観て欲しい作品です。日頃は夫のことを口うるさいオッチャンやとを思っている私ですが、大事にしなくちゃと節に感じた作品です。私の夫はノアのようになってくれるかな?

02月09日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る