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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「毒婦高橋お伝」(チャンネルNECO)
美術は黒澤治安で、同じ新東宝、監督も同じ中川信夫作、若杉のお岩さんの「東海道四谷怪談」も担当していた方で、「四谷怪談」はカラー作品で、絢爛たる様式美と色彩を魅せてくれていました。新東宝は低予算作品が多いと言われますが、その他の作品もセンスや工夫でとてもそうだとは感じさせません。お金がなきゃ人間工夫するものですね。たくさんお金がかかっても、大味な作品が多い今の作り手は、肝に銘じると良いのではないでしょうか。

恋心、母性、恵まれた美貌がもたらす悲劇など、女性特有の感覚と、それとは対極な殺しや犯罪をくっきり対比させながらも、生身の女の体臭と言うリアルさではなく、ひたすら情に訴える演出で、お伝に共感出来るように作られています。昔祖母と観た、大衆演劇を彷彿させるような作品です。
特筆すべきは、こんなに楽しませてくれてたったの74分!本当に無駄がないです。洋画と比べて邦画はダメだとお思いの方も多いと思いますが、騙されたと思って、一度好みの合いそうな古い名作邦画を観てください。きっと誰かに薦めたくなりますよ。

07月10日(土)
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