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声優さんと映画とアニメと
by まいける2004
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■吹き替えの極意
ちょっと切なかったのは、私の子供の頃からの洋画の友でアイドルだったアランドロンとジュリアーノジェンマを吹き替えていた野沢さん、今尚現役で素敵ですし衰えをほとんど感じさせないのですが、90年代以降の吹き替えのナチュラルで自然な演技にくらべると、やはり台詞まわしにスタイルの古さを感じてしまいました。やりすぎ感がどうしても気になってしまって・・・ご自身の主催する声優学校での吹き替え練習シーンで実演する台詞回しに、昔ながらの吹き替え独特の大仰な抑揚に、ずいぶん昔の雰囲気なのを実感。今の吹き替えの役者さんの演技というのは、実際のスクリーンの中の人の演技にあわせた形で、かなり抑えた演技になっているんだなぁと改めて実感。映画作品そのものの役者の台詞回しが、そうなっているので、そうなるのが必然なのかなって思います。昔は舞台劇風、今はドキュメンタリー風とでも言うべきでしょうか?
ちょと那智さんの授業シーンでアドヴァイスしていた、場面の雰囲気を考えながら演技をしなさいという、アドヴァイスに、どきり。
そう、そのシーンがレストランの中なのか、街頭なのか・・・とか、自分の演じる役が置かれている状況、立ち位置(ベットで耳元で囁きあっているのか、風の強い外でわめきあっているのか、部屋の中でもちょっと距離を置いたところで話ているのか、立っているのか、座っているのか、上向いてるか、顔を向けているのか、どうなのか・・・ななどなど)をすべて理解した上で、声を出さねばならないという部分、役者さんの想像力とテクニックの最高峰が秘められているのだろうなと思いました。これはひどい出来の機内版を思い出して反面教師を実感した次第です。まるで、全員が並んで、耳元に向かって朗読しているような、そんな演技と演出だった”ディパーテッド”JAL版を思い出してしまって、あんなにへたくそでひどい例もあるんだぞ・・・と(笑)。
それに比べたら、ミュンヘンやミッション3など、森川さんが出ている作品をはじめとした一連の素晴らし作品は、みんなヘッドフォンで聴いても素晴らしい仕上がりです。
いかに、役者さんが、ただ口の動きにあわせて台詞をまくしたてる演技をしているのはないという事実を思い知るか、それプラス演出家や脚本家のセンスや経験や技量の重要性も実感します。
ディパーテッド、DVD版は機内版とキャストが違いそうなので、たぶんDVD版は見違えるような良いできになっているものと思われます。ナイトミュージアムは機内版も劇場版も同じで、素晴らしかったです。距離感も方向感も全体の雰囲気も、非常に良い出来だったと思います。
つくづく、吹き替えも総合芸術であり職人の世界なのだと・・・番組の中でも、野沢さんが、数年かけて作ってこられた映画作品を、1日で声を入れてしまうのだから、それは半端な作業はできない、有る意味日本語で命を吹き込むにあたっては、元の作品をさらに数倍面白いものにしてやるぞという意気込みが大切であると・・・そう、そうであるからこそ、吹き替え版には価値があるんだと思います。
現場の方々が、この気概で製作にあたっていらっしゃる作品は、きっと素晴らしい仕上がりになっているなぁと、そういう作品をなんらかの形で評価できればいいのにと思います。中には歴史に残る吹き替え作品というものも存在するはずなのですから。
そうそう、コジャックとコロンボのキャラの違いと声優さんのアプローチの違い(コジャックの森山周一郎さんはサバラスにあわせた演技を、コロンボの小池朝雄さんは自身の個性を出していたのとこと)同じ英語の台詞(私の妻が言うには・・・)でも日本語に翻訳するときの違い(コロンボでは、うちのカミサンが、になりますよね)が解説されていて、日本語の奥の深さも実感。
そう、あと、広川さん若山さん矢島さん久松さんあたりのお名前がぜんぜんかけらも出てこなかったのも、なんだかいろいろと大人の事情があるんでしょうね・・・少し寂しかったです。
とはいえ、森川さんが生きている世界が一部垣間見えた気がして、非常に興味深かったです。
戦国BASARA2
久しぶりにすこしだけやってみました。
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04月08日(日)
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