日々の泡

2011年12月11日(日) ジル・チャーチル著「眺めのいいヘマ」読み始め

今年の春先の新刊。図書館で検索したら貸し出し中だったので当分待たされると思っていたらすぐに連絡がきた。どうやらたまたま貸し出されていただけだったようだ。ずっとなんのパロディーかわからなかったのだが、口に出して書名をつぶやいてみてわかった。眺めのよい部屋」だろうか。もちろん原題は違うのだが。今回も冒頭からジェーンの騒ぎっぷりがゆかいだ。先が楽しみだが、そのまえに読みたい本があるのでちょっとお預けか。 同様に予約をしておいたクレオコイルの例の「コクと深みの名推理の...えっ?3巻? 新刊だと思ったのに もしや既に読んだのに題名を忘れていたのだろうか。 ショックである。



2011年12月10日(土) 横光利一著「上海」返却

他にフィッツジェラルド「冬の夢」返却。図書館に予約をしていたミステリーの新刊の連絡が来たので、泣く泣く未読の2冊を返却することにする。またあらためて借りたいのでここにメモ。



2011年12月03日(土) 宮澤賢治著「グスコーブドリの伝記」読了

発端は今夜の「グレーテルのかまど」で樋口一葉がテーマだったこと。青空文庫で一葉の短編を拾い読みしている内に、たまたまこの題名が目に入り、うろ覚えの結末を確認するために、読み始めた。そうそう、確かにこの話だった。冷害を防ぐために火山の爆発を誘発するための最後の一人になったブドリの話だ。淡々と語られたエンディングにまた泣けた。



2011年12月02日(金) 辻原登著「熊野でプルーストを読む」途中

先週日曜日に吉祥寺のBOOK1stで買った一冊。shanghaiの動詞の意味など、たまに深く調べてみようと思う事項がでてくる。芥川賞をとったらしいが、記憶にない。



2011年12月01日(木) The Sense of an Ending

11月中旬頃の朝日新聞の日曜版にロンドンの書店からという頁があり、そこにブッカー賞4度目の正直とあって、この書名があった、面白そうなので記事をとっておいたが、よくよく見たらまだ邦訳はないらしい。たまには読んでみようかとAmazonで注文した。 シャープの電子辞書をこの春先に買ったものの一回も使っていなかったので、それもかなり大きな要素だった。むずかしい。冒頭からむずかしくて歯がたたないながらも、とりあえず半分読んだ。多分全部読んでから最初から読めばなんとなくわかってくるだろう。



2011年11月25日(金) シェイクスピア著「じゃじゃ馬馴らし」

むかし読んだことがあり、うっすらと内容は覚えていたが、これほどバカバカしく、品のない話だとは忘れていた。



2011年11月21日(月) イアン・サンソム著「蔵書まるごと消失事件」途中

図書館で借りた一冊。移動図書館貸出記録というシリーズの1巻目らしい。「憧れの図書館司書になるべく、アイルランドの片田舎タムドラムにやってきた青年イスラエルを待っていたのは、図書館閉鎖という無情な現実だった。代わりの職務、移動図書館の司書を任されたものの、肝心の蔵書15,000冊は一冊残らず消えていた。だれが、なぜ、どこに?事件を解決するはめになったイスラエルの孤軍奮闘が始まる。」



2011年11月19日(土) シャーリイ・ジャクスン著「ずっとお城で暮らしている」読了

昨年10月に一度四分の三ほど読み終えたあたりで返却期限が過ぎ、たまに書架を見ていたのだがみあたらず、ようやく他の本を探している時にたまたま見つけた。せっかくなので、その時の読書録をペーストする。

不思議な小説である。「あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド 18歳 姉さんの今スタンスと暮している。運さえよければオオカミ女に生まれていたかもしれないと、何度も考えたことがある。」そんな一文から始まる。彼女は題名とおり姉と叔父と城に住んでいて、週に2回、村に姉に頼まれた食材などを買いに行く。図書館とコーヒーショップにも寄る。村人たちは彼女を遠巻きにして観察する。子供たちはあからさまに彼女への敵意を見せる。彼女たちの両親、叔父の妻は6年前に一家で食卓を囲んでいる時に毒にあたって命を落とす。食事を作ったコンスタンスに疑いがかけられるが最終的に嫌疑は晴れる。それなりにお互いをいたわりながら日々を暮している3人。そこへ従兄弟であるチャールズが一緒に住むようになり、徐々に平穏はひび割れて行く。多分惨殺はメアリキャットによるものだろう、と予測する。薄い本なので、あと少しで読了できそうだが、夜遅くに読みたい本でもない。
著者はサンフランシスコ生まれ、カリフォルニアで少女時代を過ごした。

なかなかうまくまとまっている。どうやら年々脳が劣化しているらしく、過去の自分の文章に驚くことがある。

ついに微妙なバランスを保っていた平安が崩壊する。彼女たちの平穏な日々を乱したチャールズに感化され こもったままで過ごしてきたことを後悔するようになったコンスタンスの言動に危機感を覚えたメアリキャットはあらゆる呪術のようなものを動員してチャールズを追い出そうとする。彼が自室として使っている父親の部屋に忍び込んだメリキャットはまだ火のついているパイプをゴミ箱に払い落とす。やがて火は屋敷の天井を崩壊するが、それよりも火事を止めようとして呼び込んだ村人たちが今までの憎しみを晴らすかのように屋敷内をめちゃくちゃにする。この混乱でジュリアン叔父さんは死に、二人は台所で寝起きする。服も焼けてしまったのでメリキャットはテーブルクロスを着る。食料品もつきる筈だったが、ある日村人がやってきてブルーベリーのパイを置いていく。その後も詫びのメモが付いた卵などが置かれるようになる。
そうそう、村人たちが彼女たちを憎む原因は一家惨殺ばかりではなく、彼女の家屋敷が塀で囲まれていたため、村人たちの近道を封じてしまったことにも原因があった。今や塀が破壊されたため、自由に行き来することができるようになったため、村人たちの怒りも溶けてきていたのだ。

「おさとうに入れたの」
「知っているわ。すぐわかった」

「姉さんはおさとうを絶対に使わなかった」
「そうよ」
「だからおさとうにいれたの」

恐ろしい会話が静謐の中に交わされる。
父親に怒られたメリキャットは一家の食事には加わらず自室にいた。一家はブルベリーにかけた砂糖で死に至ったのである。
なぜメアリキャットが姉を除く全員を殺害したのかは今一つ私にはわからなかったが、メリキャットは周囲の雑音に耐えられなかったのだろう。それにしても、ジュリアンおじさんはその殺害から辛うじてまぬがれ、その後病弱な体となり車いすの生活を送るわけだが彼を支えていた惨劇の日の正確な記録を残すという作業であり、彼はいつもそのことを口にしていた。今思えば恐ろしい話である。



2011年11月15日(火) 千野隆司著「追跡」読了

序章 「永代橋」では料理屋「菊田川」の二人の若い板前がちょっとした弾みから賭けをし、まず角次郎が橋の欄干に登るが、突風により川に落ち水死する。それから20年後から第一章は始まる。 序章好きな私としては、たいへん好きなパターンである。たまに序章を疎かにして、後々公開することもあるし、読み終えてから序章を読んで改めて感動することもある。 主人公は角次郎の遺児の磯市であるが、未亡人となった母といまや大きな店構えとなった菊田川の主となったもう一方の賭けの相手乙蔵との噂や乙蔵が自分の父を殺害したのではないかという恨みを忘れられない。自分も料理人としての道を歩んでいたが、先輩とのつまらない諍いから店を追われ今は金貸しの手先となって、貧しい人々を脅す役回りで生活している。磯市の妹おひさは菊田川に仲居として勤めている。乙蔵はいまや菊田川の主人菊右衛門と名乗っていて、跡取りのちょっと頼りない筅太郎とその妹のおまき、妻と暮らしている。この二人の兄弟と磯市、おひさは仲良く遊んだ時期があった。この人間関係に加えて磯市が崩壊に導いた家の娘、おせんがからみ、磯市の菊右衛門への憎しみを軸に話が展開していく。クライマックスではついに磯市が菊右衛門を殺そうとするが、菊右衛門が角次郎が死ぬことになった賭けを提案してしまったという罪の意識から逆らわない様子にためらっている内に、もともと菊田川にうらみをもつ磯市の雇い主である金貸しが菊右衛門を殺そうとし、磯市はそれを止め、金貸しを殺害する。最終章は永代橋の場面である。磯市は人を殺めたものの菊右衛門の口添えにより遠島となり、これから船で流罪地に送られようとしているところである。船が動き出したとき、永代橋から菊右衛門をはじめ、筅太郎とその妻になった妹のおひさが自分の名前を呼んでいることに気づく。そして 彼が不幸のどん底に落としながら、命をかばって憎しみの目で見つめられながらも一時期一緒に暮らしていたおせんが「帰ってきて」と叫ぶ。「また戻ってこよう。必ず帰ってきて菊田川の人たちと暮らすのだ。一時あきらめていた料理人の夢をまた抱きながら、角次郎はこの永代橋で死んだ。だが自分は今、この永代橋で生き返った。そんな感動的な磯市の思いで終わる。こんな悔悛の場面にはいつも感動する。なんだかんだいっても浪花節好きなのだ。



2011年11月11日(金) 千野隆司著「大川端ふたり舟」読了

図書館で借りた単行本 霊岸島捕物控というシリーズ物らしい。この著者は自然描写に心理描写を重ね合わせて表現するのがうまい。冒頭はこうである。「闇の中に軋み音を聞いた。何かが軋んだ大人の香、あるいは心の奥の響きだったのか、それはわからない。」こんな感じだ。前章で材木商で働くおくにが、盗みを働く盗賊の存在を知らせようとして殺される。本章が始まるのは、その後の話だ。おくにの娘のお妙は霊岸島に父親である岡っ引きの五郎蔵と二人で住んでいる。五郎蔵がおくにと離縁してからもう10年になる。大火事の場面から物語は始まる。家を焼け出されて、怪我をした人間が寺に集まっている。いつの間にかお妙も手助けをするようになっていた。淡々と病人を診てくれる医師の親子、薬剤商の手代の多助、五郎蔵が面倒を見ている小料理屋の女性、いろいろな人との関わりあい。お妙は母親のおくにを殺した盗賊について調べ、ついには真相をつきとめる。 江戸物にしては珍しくあっという結末が待っていた。てっきり調子のよい多助が賊で、朴訥な医師の息子の道也と最後にはまとまるのだろうと思っていたら、全くの逆の結末が待っていた。なかなか面白かった。次もこの作者のものを読んでみたい。


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