日々の泡

2008年12月27日(土) アンナ・マクリーン「ルイザと女相続人の謎」読了

図書館で借りた一冊。創元推理文庫 名探偵オルコットシリーズの1巻目 2008年1月31日に初刊が発行されているから、これから順次 既に出版されている第2、第3巻も翻訳されていくだろう。派手なストーリー展開ではないが、オルコットの幼い頃からの友人であり、被害者であるドロシーの一途な愛が描かれていて好感の持てた。謎の中心にあったのが愛だというのは新鮮である。「若草物語」のジョーを思わせるルイザ・オルコット、上流の出でありながら貧しい生活に敢然と挑んでいる母親、理想家であるが故に生活力のない父親。貧しいながらも「パンを焼く日」や靴下を繕う一家の姿がどこか楽しい。



2008年12月13日(土) エリザベス・ボウエン著「あの薔薇を見てよ」

図書館にて。MINERVA世界文学選 図書館のデータより「20世紀英国文壇切っての短編の名手がミステリータッチで抉る人生の真実。楽観的な予定調和は期待できない。謎は謎のまま読者の前に放り出されるだけ。文学を読む本当の楽しさを味わえる20編を収録した短編集。 」著者:1899〜1973年。アイルランドのダブリン生まれ。小説、文芸評論、旅行記等を手がける。ダブリン大学、オックスフォード大学より名誉博士号授与。著書に「パリの宿」など。



ボウエンの名は学生時代に馴染みがある。何かを原文で読んだ気がするが、思い出せない。データにもあるが、最後の一行になっても釈然とせず、思わずページを逆にめくってしまう。 すっきりするエンディングは忘れるものだが、こういった不消化なものは忘れられずに記憶に残ると言う現象があるかもしれない。題名を列挙する:あの薔薇を見てよ/アン・リーの店(帽子屋だ)/針箱/泪よ、むなしい泪よ/火喰い鳥/マリア/チャリティー/ザ・ジャングル/告げ口/割引品/古い家の最後の夜/父がうたった歌/猫が跳ぶとき/死せるメイベル/少女の部屋/段取り/カミング・ホーム/手と手袋/林檎の木/幻のコー  印象に残っている「泪よ、むなしい泪よ」からの一節:泣き虫フレディックは母親に取り残された公園で若い女性に出会う。「彼女の目には見えていた。ジョージとフレディックの目はきっと傷口なのだ。地球の表面に開いた傷口から、その内側にある激しく痛み続ける避けられない哀しみが、血を流しながら、途切れることなくにじみ出てくるのが。」冒頭に小池滋が「ボウエンへの花束」として序文を書いている。「前略 先に述べた「癒される」とか「心安らぐ」という表現を英語で言うと「コージー」のなる。コージーと聞くと、ミステリー文学好きなら、すぐアガサクリスティー(ボウエンより9歳年上)の小説の世界を思い出すだろう。ボウエンの小説にも似たようなところがある。コージーな世界、居心地の良い雰囲気をひと皮はげば、そこに醜悪な人間の本性がとぐろを巻いている、おぞましい光景がいやでも目に入ってくるのだから (クリスティーの小説ではポワロ、マープルが解決してくれて元のコージーな世界に戻してくれる)だが、ボウエンの作品ではそんな楽観的な予定調和を期待することができない あとは読者が考えなければならない) このあたりがボウエンの日本における不人気の原因だと言う。 「だが、文学とは本来そうしたものではないだろうか」安易な人生問題の解決や、癒し系ドリンク剤ではないのが、ほんものの文学なのである。中略 彼女の作品からいろいろなものを掘り出すのは読者に任されている。これこそ、文学を読む本当の楽しさ、心の癒しなのである」 なるほど.....。



2008年12月05日(金) シャーロット・マクラウド著「にぎやかな眠り」借りる

図書館にて。 やっとシリーズの第1巻目を借りることができた。以下文庫から丸写し。「バラクラヴァ農業大学、クリスマス。シャンディ教授にとってうんざりするような季節が、まためぐってきた。ふだんは静かな大学町も、このときばかりはにぎやかなイルミネーションに彩られ、物見高い観光客の第大群に席巻されるのだ。今年こそは一泡吹かせてやろう、そう考えた教授は目には目をとばかりに、とてつもなく仰々しいイルミネーションを編み出して妨害の挙に出た。それが殺人への呼び水になろうとは夢にも思わずに。」この巻で教授は司書のヘレン・マーシュと出会うわけである。



2008年11月19日(水) 20081119告白

後輩のHさんから借りた一冊。


 天空の蜂」を読了 三島の孤独と情熱は表裏一体か? 「告白」自分の娘が自らが勤める高校のプールで溺死してしまった女教師と生徒たちの葛藤。いろいろな人物の口から事件に関するエピソードが語られる。最後に笑ったのは女教師であり、すべてを知っている神の語り口になっているが、自分も大学を破壊することによって罪のない人間を死に至らしめていることを知っているのか、知らないのか。



2008年11月13日(木) 東野圭吾著「天空の蜂」読み始め

後輩Hさんより。文庫。



2008年11月12日(水) シャーロット・マクラウド著「水の中のなにか」読了


シリーズもので一番面白かった。



2008年11月07日(金) シャーロット・マクラウド著「水の中のなにか」読み始め

荒野に咲き誇る見事なルピナス。今回はそんな魅力的な場面から始まる。妻のへレンが旧友を自宅に招いてパジャマパーティーを企画したため、シャンディ教授は一人宿をとってルピナスの調査をしていた。その宿で夕食をとっていた男がいきなり皿につっぷして絶命する。



2008年11月06日(木) 西新宿BOOK1stオープン

夏の終わりに新宿で完成間近の妙な形の高層ビルを見た。友人たちとまるで絆創膏を貼り付けたようなビルだと話していたがそれが東京モード学園のビルだと知った。その後、今週になって新宿駅のあちらこちらで西新宿に新しい書店がオープンすると言うポスターを見かける。場所はなんとモード学園のビルの中だった。と言うことで、なんとなくオープンの日には行って見ようと思いつく。オープンを祝う花がいろいろな出版社から30基くらい届いていた。広いことは広いが、ごちゃごちゃしている感がある。地下2階はすべてビジネス書だった。やはり京王線から遠いので、普段はあまり行かないだろう。



2008年11月05日(水) シャーロット・マクラウド著「フクロウが多すぎる」読了

バラクラヴァ名物フクロウ数えの夜、シャンディ教授はスヴェンソン学長、ストット教授らのグループに参加していた。その途中、なぜかそのグループに参加していた男が殺される。ウィニフレッド・ビンクスといういわゆるオールドミスの植物誌の准教授が登場するが、なかなか魅力的である。



2008年11月01日(土) 東野圭吾著「流星の絆」読了

この月曜に後輩から借りた話題の一冊。単行本のため、この日の会社の帰りには電車の中でお味見ができたが、その翌日からの腰痛のため、通勤のお供は断念。土曜日に丸の内、上野と歩き回ったがこの日には持ち歩き、土曜の夜も零時過ぎまで読み通して読了。ドラマも土曜の9時から工藤官九郎脚本で始まっている。 クドカンであるから、原作とはかなり趣が異なるのは当然であろう。横須賀で「アリアケ」という洋食屋を営んでいた両親は三兄弟、功一、泰輔、静奈の三兄弟がこっそり家を抜け出してペルセウス座流星群を見に行った夜に惨殺される。家から出てくる男を目撃したのは次男の泰輔だった。それから14年後、兄弟たちは施設で育ち、成人した。現在は自立しているとは言え、過去のだまされた経験を生かし?詐欺として生計を立てている。その手口は静奈の容貌に依る所が大きい。美しい女性に成長した静奈は、次から次への言い寄ってくる男たちを手玉に取り、ある時は、保険外交員、ある時は先輩の銀行員がノルマを果たすために協力する女子学生に成りすまし、泰輔と共に詐欺を行っている。もちろん台本は功一が書く。三兄弟の目的は、犯人を探し出すことだった。ある日、静奈は功一の台本どおりにあるパーティに出席する。標的は、今回は宝石商に化けた泰輔がどこかの令嬢然とした静奈をエスコートし、レストランとがみ亭のオーナーの一人息子戸神行成の関心を引き、最終的には功一が作成した偽の宝石を行成が静奈のために購入させようという目論見だ。だが、行成が新しく開店するとがみ亭の目玉商品となる予定の父親から譲られたレシピーによるハヤシを試食した静奈は、それが父親が作ったハヤシの味であると言う。泰輔も行成の父親が、14年前の惨劇の際に目撃した男の顔に間違いないと断言する。こうして功一は、戸神に警察の目が行くように種々画策するのであるが。 計算違いは静奈が行成に想いを寄せてしまったことであった。行成もまた、清清しい人間である。彼は真実を見極めたいという一心で三兄弟に協力して父親を罠にかける。結局父親は14年前に兄弟の父親から50万円でレシピーを買い取っただけであった。ただし、自分に罪が及ぶのを恐れて、自分が目撃した惨劇を黙っていた。結局犯人は、功一と事件後も連絡を取っていた刑事であった。彼は、離婚した妻に引き取られた幼い長男の手術費用のためにこの殺人を犯したのであった。この刑事は三兄弟の罪を一手に引き受けて自殺をする。最終場面はなかなか感動的だった。行成は詐欺で手に入れたお金を次々に返していく。それは行成が功一から買い取った例の偽のダイヤの代金で支払ったものだった。行成は彼らに自分も彼らと絆でつながっていたいと言う。


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