日々の泡

2007年12月19日(水) アニータ・ブルックナー「招く女たち」読了

この小説はある意味非常に記憶に残っている一作だ。多分10年前に図書館で借りたときは、たいくつでたいくつでほとんど難行苦行と言った感じで読んだ。読み終わるのが嬉しくてたまらなかったのだが最後の2行でそれまでの鬱屈感が一気に晴れ、幸せな気分になれたのだ。主人公のルイス・パーシーがアメリカに英文学の客員教授として招かれ、渡米する前にパリに行くのだが、空港での本当に最後の場面だ。「イギリスの見納めにふりかえったとき、エミーの姿が見えた。彼女は人ごみをかきわけかきわけ、ネックレスをゆすり、笑い声を上げ、汗をかきかき謝りながら。搭乗券をふりかざしていた。」訳者の小野寺健はあまり感心しないが、この2行はなかなかの力作だと思う。エミーの姿が目に浮かぶようだ。10年前も今も私にしてみればあり得ない結末だ。 また、単調な生活だと思っていたルイスの日々は結構起伏に富んでいることに今回気がついた。この10年の私の心境の変化ということなのだろうか。 ティシーとその母ミセスハーパー そしてルイスの母。いろいろな女性が出てくるがみんななぜか幸福を求めてはいない人々である。また、結構食事に関する記述が多いのも特徴かもしれない。始めにパリの下宿屋でのちょっとしたサロンにルイスはいつもコーヒーや苺、カマンベールを女たちのために買って帰る。ルイスが食事をする場所にもしょっちゅう言及している。コーヒーショップ、などなど。食事をとる場所にその時々の心境を語らせていることすらある。またベルギー料理が得意なミセスハーパーも独特だ。自分はほとんど口にしない贅沢な料理を作ってのける。だが、やはり翻訳がかなりまずい。意味がわからないところがかなりあった。ただ、小野寺氏が複雑な文章のため苦労したという記述があるので、原書には手を出さないほうがよいだろう。 今朝本棚から「秋のホテル」をひっぱりだす。明日からはこれを読める。裏に93年11月と鉛筆で書いてあった。一体一番最初に読んだ小説はなんだったのだろう。京橋図書館で司書の人が「私もこの本、好きです」と言ったことを思い出す。「結婚式の写真」「英国の友人」は確かに読んだのだが、残念ながらなにも覚えていない。  帰りにブルックナーの本がないだろうかと先週オープンしたばかりの古本屋に寄るが、なかったため空手で出るわけにも行かず、ヴァージニアウルフのダロウェイ夫人を900円で購入。きれいな表紙は発売当事に手に取ったことを思い出させる。



2007年12月15日(土) オープンした古本屋で「たんぽぽのお酒」を購入

レイ・ブラッドリだ。 図書館でいつも気になっていたが(それこそ30年以上)まだ読んでいなかった。その内読みたいと思う。



2007年12月11日(火) アニータ・ブルックナー著「招く女たち」読み始め(再読)

以前から、退屈さを堪え、我慢して最後まで読み続けて、最後の一行でその努力が一気に報われる小説だと思い、人にもそう話してきた一冊。しかし今回、始めからどのエピソードもしっくり心に染み渡ってくるのはあれから数年たち、私の心境が変化したからだろうか。「ある人生の門出」でもそんな感想を持ったものだが。今の私が読んだからこんなにしっくりと自分の心に入ってくるのだろう。 人生の薄暗がりと薄明かりが明滅するような私の日々がこの小説にひどく共感を覚えるようだ。じっくりと読んで行きたい。



2007年12月09日(日) 大岡信 講演会「折々のうた」

13:30から府中中央図書館開館記念講演会に出席する。9月頃に大岡信の本を借りたときにまだ未定だがということで教えてもらった。おかげで無事申し込み、限定500名のためだめかと思ったが当選して喜んでいたにもかかわらず、どうやら希望者700人、補助いすを使って全員参加としたようだ。 それはともかく、少々呂律が回っていないのが心配だったが、なかなか楽しい話を聞くことができた。



2007年12月07日(金) アニータ・ブルックナー著「ある人生の門出」読み始め

2004年1月発刊 ブルックナーの作品で翻訳されたものは全て読んだと思っていたが、その前に私のブルックナー熱は冷めていたのかもしれない。 落ち着いて全編を読むことができた。バルザックの研究家であるヒロイン。なにやら出だしから鬱屈した雰囲気が漂う。



2007年12月02日(日) 「殺しはゼロカロリー」読了

今回は番外編というか、いつもの老人ホームではなく、近くのダイエットを目的とする高級スパが舞台で、さらにキャレドニアが大活躍する。相変わらずダイエットには全く興味を示すことなく、事件をかぎまわった挙句に冷蔵庫には閉じ込められる、最後には用務員の老人からデートを申し込まれるなどなど、なかなか楽しかった。



2007年12月01日(土) 14:00府中市立図書館新装オープン!

大国魂神社の境内にあった図書館が移転して新装オープンした。9月から休刊となっていたので久しぶりの図書館でもある。14:00オープンだったため、15:00頃に出かける。まず1Fに入ると、ロビーになっていて、図書館自体は2Fからになるらしい。エスカレーターで上りながら、これは私が中学生の頃からずっと通ってきた図書館ではない、私は思い出の図書館を永久に失ってしまったのだ等と感傷的な気分になる。書架がずらりと並ぶ。開放感を出すためか、小柄な人でもとりやすくしてあるのか、はてまた地震対策か、どれも私の背の高さだ。これでは蔵書量が少ないだろうと、また批判めいた気分になる。かなり読み込まれた本が真新しい書架に収められているのもどこか気持ちが悪い。と、そんなことを考えてはいたのだが、古い図書館では閉架式の書架にあった個人の全集ものが並べられているのを見ると、やはり嬉しい。テーマ別の書架から芥川賞受賞作として並んでいた吉田知子の「無明長夜」を取り出す。家に大学時代に読んだ文庫本があるのだが、どこに行ったかわからないので借りることにする。他にこれもずっと気になっていたブルックナーの「招く女たち」。最後の一行で最高に盛り上がった小説だ。 階段で3Fに。原書がずらりと並ぶ。シドニーシェルダンやミステリー、純文学もある。すごい。今までなかったコーナーだから当然新刊である。2週間で読めるわけもないがいずれ借りたいと思う。1Fのカフェに入る。ロータスカフェというらしい。憩いを狙ったのだろうが、ちょっと抹香くさいと思う。 アイスラテを注文。 来週ここで大岡信の講演会がある。申し込んであるので楽しみだ。満員御礼の札がポスターに貼ってあった。締切日当日に申し込んだのだが、良かった。



2007年11月27日(火) 福岡伸一著「生命と無生物のあいだ」

「秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない」第9章動的平衡とは何か、より。この一行を読んで、会社のこと、生きるということ、死ぬということについて、目から鱗が落ちたような気がした。(目から鱗を昨日も敬語の使い方で使ったような気がする。)会社からどんどん優秀な人材が退職していくのを惜しいように感じていたが、多分こんな理由もあるだろう。そしてこの生ある世界から離れていくことにも。なかなか興味深かったが、日の目をみなかった研究者にもかなりの紙面をさいて言及していて、読み物としては面白かったが、もっと知りたければ他の本を...というような入門書であろう。



2007年11月26日(月) 「頭がいい人の敬語の使い方」本郷陽二監修読了

昨日吉祥寺の啓文堂で買った一冊。最近「頭のいい人の」とつく書名が多いのはなぜか。ひどく魅力的なとっかかりであることは確かだが。通勤電車でほとんど一日で読了。「とんでもございません」が間違いであることは20年前に読んだやはりこの手の本で一番目から鱗だったので知っていたものの、使い勝手がよいので、ついつい多用していたが帯にまで書いてあるので、今後は使うのは極力控えようと思う。他にもなぜおかしいのかとは理論的に説明できなかった誤用が明確になってよかった。社内の人へ朝はおはようございます、というが昼はこんにちは、と言っていたがお疲れ様が正解らしい。かなり違和感を感じないでもないが。



2007年11月25日(日) Poe殺人事件に再挑戦

先週書店で翻訳本が上下巻新刊書のコーナーに並べられているのを見る。手に取った限りではかなり面白そうだ。とは、今さらであるが、と、言って原書に惨敗したからといってまた購入するのもかなり無駄な話である。面白そうだという確約が得られたことは相当なモチベーションになりえるだろうからもう一度挑戦しようと書棚から出してきた。町で美人姉妹だと評判の一家のさらに一番可愛いといわれている少女と幼馴染である多分狂言回し役の主人公。 ある日偶然ひどく淋しい葬儀を見かける。この葬儀の印象は忘れがたく、周囲からその日こそは幼馴染の女性にプロポーズするだろうと思われていたその夜のパーティにも影を落とし、主人公は上の空でそのパーティーをすごす。 翌朝主人公はその葬儀がエドガーアランポーのものだったことを知り驚愕する。彼はこのところ弁護士としての仕事の顧客として以前から文学的に崇拝していたポーとやりとりをして、昨日もポーからの書状が来ていないかを調べに郵便局に足を運び、その葬儀に遭遇したのであった。と、かなり私にしては珍しく筋書きを書いてしまったが、前回読んだところを今回再読したため、今度こそは忘れないように書き留めておくものである。でも、このところ幸せなことに読みたい本がたくさんあるので、原書という効率の悪いものにかかわっている時間は惜しいような気もする。吉祥寺の啓文堂で「頭のいい人の敬語」「生命とはなにか」を購入。


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