日々の泡

1998年04月28日(火) 三浦綾子 銃 口

純文学小説
作者:現代 日本
出版社・値段:小学館 上下各619円

純粋で理想家の主人公は、小学校時代に既に教師こそが自分の天職だと思い定めるが...。 大正天皇の崩御に始まり、昭和天皇の大喪の日に終わるこの小説はまさに昭和史そのもの。治安維持法に触れたとして監獄に入れられたり、結婚式の直前に赤紙が来たりと、さまざまな挫折を経験しながらも、主人公が成長していく様を、常に迷い続ける心の葛藤や宗教の問題などを織り交ぜながら描いています。   と、ぐちゃぐちゃ書きましたが、 とにかく全編を通して人間味があふれかえっていまして、なんだかんだと言いながら、圧倒的に善人が多く登場する小説です。 実はこういう小説に一番弱い...。1998/04/28



1998年04月26日(日) ジェフ アボット 図書館の死体

ミステリー小説
作者: 米国
出版社・値段:早川書房 680円

続刊が出ているというのにいまさらですが。いわゆる素人探偵物。 ミステリーなので詳細を書くことは控えますが、殺された女性の持っていたリストには町の人々の罪が聖書の中の一節で示唆されていたりして最後まで面白く読めます。 また帯に有るように感動的で心温まるラストシーンもあります。(でも帯にこう書かれると、感動しなかったらどうしよう、とか涙を拭くハンカチを用意してしまったりして、ちょっと身構えてしまいます)でもちょっとひっかかるのが、素人探偵という設定。 確かにおもしろいのですが、素人ゆえのあまりに無防備で感情的な捜査にはちょっと首をかしげたくなります。 一体公の機関は何をやっているのか、と思われるほど、全体としてのバランスが悪いときがありますね。 余程必然的な状況作りが為されていないとちょっと弱くなりがちです。  1998/4/24 9:10AM



1998年04月15日(水) 郷ひろみ ダディー(爆)

ノンフィクション・ドキュメント
作者:現代 日本
出版社・値段:幻冬舎 1,555円 もうすぐ古本屋に出回るでしょう

ファンの方には怒られるかもしれませんが....言葉も思想も借り物ですし、真剣であるべきところで笑いをとろうとする姿勢には怒りすら覚えます。でも反対に、読者をだませるくらいの誠意のある文章は書こうと思えばいくらでも書けた筈なので、かえってそこに著者の偽善のない真実が語られていると思えないこともありません。 昔ファンだった妹が是非送ってほしいというので買いました。(言い訳がましく付け加える....)



1998年04月10日(金) 町田 康 くっすん大黒

純文学小説
作者:現代 日本
出版社・値段:文藝春秋 1、429円

芥川賞候補作品。 116回というとそのときは一体なにが受賞したのか、なぜ選から漏れたのか、気になるところです。 図書館でその月の文芸春秋を借りてこようと思いつつ。   それにしても こんなに散らかって混乱している部屋なのになぜ落ち着けるのか? そんな感じの小説です。 カフカなみのわけのわからない世界ですが、実は底辺に「愛」があるところが魅力です。  他に「河原のアバラ」を収録。 



1998年04月08日(水) 町田 康 夫婦茶碗

純文学小説
作者:現代 日本
出版社・値段:新潮社 1300円 はまりました!!

今日ちょうど読み終わったのは町田 康の[夫婦茶碗]好き嫌いはあると思いますが、とにかく面白いです。茶化したような語りの中に作者の[真剣]が感じられます。新しい時代の純文学という触れ込みですが、作者は古風なタイプだと思いました。帯が面白いのでご紹介します。[金がなく職もなく潤いすらない無為の日々。そんな私に人生の茶柱はたつのか]続きは後刻...(すみません 他所に書いたものをそのままコピーしました。1998/04/08



1998年04月06日(月) 舟崎克彦+10 シエスタの庭

その他
作者:現代 日本
出版社・値段:パロル舎 1、700

実験小説とのこと。 船橋克彦がプロローグとエピローグを執筆し後は10人の白百合女子大生がそれぞれの章を受け持って書くという創作演習をそのまま本にしたようです。知人のお嬢さんも執筆しているという事で読みました。それぞれ純文学風もあれば怪奇もの、SFもの、少女小説風もあり、と言う感じで試みとしてはおもしろいと思いました。それぞれのエピソードは並列関係にあるので、リレー小説とは違ってあとがきにもありましたがパッチワークのような感じでした。 学生時代にリレー小説は書いてみたことがありますが、出来はともかく楽しいですね。 98年4月6日



1998年03月30日(月) 浅田次郎 鉄道員

中間小説
作者:現代 日本
出版社・値段:集英社 1500円

97年直木賞受賞作 遅ればせながら読みました。 表題作を含む短編集。[とにかく感動!]という周りの評判でしたが、素直な私はやっぱり感動しました。月曜朝の電車の中でまず[鉄道員]を読みましたが、涙でぐちゃぐちゃになり、さらに[ラブレター]でほとんど号泣ものでした。なぜか出所した男の当日の話が2編ありましたが、社会規範から逸脱しつつも優しさと純粋さを持ちつづけている姿にしみじみと感動を覚えます。(98/3/30)



1998年03月15日(日) 吉田知子 竹の花

純文学小説
作者: 日本
出版社・値段:

短編小説集 何気ない男女の日常生活のほんの綻びから、悪夢、狂気、恐怖などがほの見える恐ろしい小説集です。 著者は「無明長夜」で芥川賞を受賞しましたが、もし小説を書く能力があったとしたらこんな小説を書きたいと思わせる女流作家です。 一番恐かったのは(ネタバレですみませんが)なぜか恋人に次から次へと去られてしまう女の話。 なんとこの女は目を開いたまま眠るという性癖があったのでした。 そりゃあ 恐いわ....。女は去っていく男を一人ずつ殺していくのです。



1998年03月10日(火) マイクルユーディク イエスの遺伝子

SF/ファンタジー小説
作者: U.S.A.
出版社・値段:徳間書店 1,500円? 図書館で借りましょう

イエスの再来を願う秘密結社。この組織の第1規範はイエスを復活させて自分たちの救済を願うこと、そして第2規範は神を冒涜する者に制裁を与えることだった。 しかし第2規範により抹殺しようとしたDNA学者は、同時に第1規範を達成するための鍵をも握っていた。 結社のイエスの血から取り出した遺伝子と同じ遺伝子を持つ人物を探し出そうという計画はガンになった娘をイエスの再生能力により救おうとするDNA学者の目的と一致し、両者は手を組むが...。ネタバレになるのであまり書けませんが、遺伝子情報から作り上げられたイエスのホロスコープが現出するところは感動的でした。 また耳慣れた聖書の一節がぞっとするほど効果的に使われていました。思いつきはすばらしいのですが、ちょっと説得性に欠けるところがありました。 アルジャーノンの一節、人間は神様から与えられたもの以上の物を望んではいけないという言葉を思い出します。 



1998年03月01日(日) ダニエル・キイス アルジャーノンに花束を

SF/ファンタジー小説
作者:現代 U.S.A
出版社・値段:早川書房 ¥1,456

これは1966年に長編化されたものの翻訳ですがもともとは中編として1959年に雑誌に発表されたそうです。 知能指数68の主人公が手術によって超天才になる話..という筋書きはあまりにも有名ですが、実際に読んでみても結末にいたるまで、予想した通りに事は進んでいきます。現代においてはSFという言葉が少々そぐわないほど、実際にあり得る話ですが、とにかく主人公のチャーリーの生きる姿勢には心をうたれます。 面白かったから、感動したから是非お読みくださいとお薦めするにはあまりにつらい一冊ではありますが....。 今回も書店で「アルジャーノンに花束を」の文庫本はどこですか? とたずね、「まだ文庫本になっていません」と即答されました


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