ミドルエイジのビジネスマン
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2012年05月06日(日) 人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ

男は、40歳の男盛りの日に大工の棟梁として棟上の屋根のてっぺんに立ち、力強い声で指示を飛ばしていた。女は35歳の女盛りの日に大勢のお弟子さんや家族の見守るステージで日本舞踊のお師匠さんとしてその身のこなしからオーラを発していた。

人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ。

もしかしたら、小学校の運動会の日に、みんなが参加賞の鉛筆しかもらえない中で一等賞を取って、肩で息をしながらも、手にしたノートと鉛筆を大事に抱えていた日が人生で一番輝いた日だったかもしれない。
あれは幾つのときだったか、自分でも覚えていないが、母に抱かれて、優しくうなづく目を見ながら眠りについたのが人生で一番輝いていた日々だったかもしれない。

今はもう、それらの日々の出来事を、ぼんやりとしか思い出すことができなくなったかもしれないが、人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ。

私たちのデイサービスに来られる利用者の方々が人生で一番輝いたのはどんな日々だったのだろうか。そういう思いがあれば、きっとゲストの迎え方を誤ることはない。

スローガンではないんだ。モットーとも違う。ただ私たちの心の中にある思いなのだ。


2012年04月29日(日) 別の方向を見ていなくてはならない

最初の利用契約が完了した。シャチョー、どうするんですか!と揉めた二番目の人も決定だ。さらに、なんと介護関係者のご家族という別の方も、客観情勢から見て、ごく近いうちに利用されることになる。

利用者が来られると、事業所の中に人の住む家だけが持つ暖かい空気が流れる。全然効かないファンヒーターに手をかざしながら職員応募者を待ったあの寒い家に命の息が吹き込まれた。夕方のディスカッションでも居心地を良くするアイデアが次々と打ち出される。本当に良かったなと思う。利用者の方に、幸せになろうねと声をかけたくなる。ただ、事業所の中では「管理者」と呼ばれる施設長が一番偉い。どうもこっちは、ただヘラヘラしている変なおじさんと思われているらしい。そんな奴に、いきなり、幸せになろうねと言われてもキモイの二乗だ。

利用者の状況をめぐる会話をきっかけに、幾人かのケアマネジャーと具体的な話ができるようになったので、チームの中に、次の利用者も紹介して貰えるのではないか、という楽観的な発言が出てくるようになった。

親しくなったケアマネージャーが次々と利用者を紹介してくれるようになるのは理想だが、それは自分本位の幻想だ。なぜなら、そのケアマネジャーは私たちの事業所ができる前も別に困ってはいなかったし、将来について言えば、これからも次々と同様の小さなデイサービスが開業するであろうから、この事業所でなければならない必然性もない。ケアマネさんが担当する要介護者に、たまたま私たちのサービスと合うニーズがあれば声をかけてもらえる。どこかで新たに、困った事になったなという人が出てきたときに、担当するケアマネさんに思い出してもらえるように、あるいは、タイミング良く私たちが「こんにちは」と現れるように、やはり、地道な営業が必要なのだ。

思い出してみよう。契約第一号となった方を担当するケアマネさんのいる居宅介護支援事業所に初めて行ったとき、こんなに早く利用者を紹介してくれるような気配があっただったろうか。「そうですか、新しくできるんですか。頑張ってくださいね、ご苦労様」で終わったのではなかったか。職員がワクワクしながら、こんなイベントをやろう、あんなレクリェーションをしたいと語り合う脇で、私は別の方向を見ていなくてはならない。何の保証もない零細なデイサービスの立ち上げに参画してくれたチームメンバーの期待に応え、彼等自身の生活を守るためにも。


2012年04月22日(日) シャチョー、どうするんですか!

デイサービスの下見や具体的な問合せが増えてきた。しかも、1日に何件も重なったりする。経験則上、地道な営業活動が臨界点に達しようとしているときの現象だ。

自分が外出している間にケアマネジャーさんが見学に来られた。ちょっとした条件(こちらにとっては結構なハードル)があったらしく、夕方のミーティングで対応方法について揉めた。利用者の方は迎えたいが、できないことはできない。チームメンバーの思いは同じだ。ましてや、直接話をしている人にとってはあと一歩と感じられる。相談しているうちにヒートアップしたらしく、「シャチョー、どうするんですか!」と責められた。どうでもいいけど、その「シャチョー!」という呼び方やめて貰えませんか。

その場で、指導とは直接関係のない、相談しやすい本部の人に電話して話してみた。その段階でノーと言われれば、仕方ないという気持ちであったが、色々教えてもらうことができた。ただ、やはり直接の担当者に聞いてみたらと言う。改めて電話したところ、直接の担当としては、こちらで考えて最大限できることを、そのまま提案したらどうかとのことだったので、直ちにケアマネさんに回答した。

我々のアットベストは決して利用者にとってのベストではない。ここまで頑張っても、他の事業所に敗退するだろうと考えていた。すると、利用を検討している方のご家族が別の日にケアマネさんに連れられて見学に来た。話の内容からすると他所も見ているようだが、それでもこれでイーブンまで切り返した訳だ。結果は、後日改めてということになった。

どんな仕事にもあるだろう、これを飲めば仕事がもらえるという厳しい条件、う〜ん、ま、一言で言えば中小企業の悲哀そのものだ。
「あら、こんなご近所に小さなかわいいデイサービスができたなんて、私たち幸せね。早速申し込みましょ」なんて時代は、とっくに過ぎ去っている。

チームの諸君、ギリギリのディスカッションを通して自分の器も見えたんじゃないか。「利用者は欲しいけど、それはできない。しかも数時間以内に回答しなくては」という追い詰められた状況に直面する良い機会を与えてもらったと思う。それにしても、かわいそうだったのは、関係ないのに問い詰められた本部の若い人だ。いきなり、どうしたらいいんですかね、と詰め寄られても決して「こっちは、カンケーねえよ」とは言わなかった。あんたは、エライ。


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